箱根駅伝2025 東洋大・小林亮太が覚悟を決めて挑む最後の箱根路「3区は譲れないですね」
【春から見せつけてきた安定感で最後の箱根に】 最終学年を迎えた今季、小林は春先から安定感が際立った。 5月の関東インカレでは10000mで2年連続の入賞となる7位に入り、28分12秒77の自己ベストも打ち立てた。さらに、6月の全日本大学駅伝関東学連選考会では、最終4組で日本人トップ争いを繰り広げて8位でフィニッシュした。 また、蒸し暑かったホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会の10000mでも粘り強さを見せた。狙っていた27分台に届かず悔しさを口にしていたが、「力がついてきた実感はある」と言うように、今季前半戦はどんな悪条件でも大崩れすることなく、出場した10000mの4レースすべてできっちり28分台をマークした。 駅伝シーズンを前に腸脛靭帯や膝蓋靭帯など膝周りをケガし、「ギリギリのところで調整していたのですが......」と出雲駅伝は出場を回避したが、全日本大学駅伝で復帰。1区でトップと5秒差の区間8位と、スターターの役割を務め上げた。 「そこから状態はよくなってきて、練習も積んでいるので、箱根は大丈夫。チームに(出雲では)迷惑をかけてしまったので、箱根ではチームを救う走りをしたいと思います」と、小林は決意を新たにしている。 最後の箱根も、もちろん3区を走るつもりだ。 だが、本人がその気でも、小林の3区が確約されているわけではない。 「小林は2年連続で3区を走っていますので、3区で同じように起用する可能性もあります。ただ、全日本の前後で練習がちょっと途切れたところもあるので、最後までしっかりと様子を見極めたい。他大学も3区は強い選手を起用してくることが予想されますので、もちろん実績も大事なんですが、勢いのある選手、調子のいい選手を起用したい」 酒井監督がこう口にしたのは、気を引き締める意味合いもあるだろう。とはいえ、駅伝は序盤の流れが大事なだけに、指揮官は慎重を期す構えだ。 小林としても、指揮官の期待に応える覚悟は備わっている。 「前回以上の走りが求められると思う。3区を走るならば、前回区間賞の太田君(蒼生、青学大4年)との約2分差をしっかりと縮めたい。太田君と張り合って、勝つことができれば、チームの雰囲気も盛り上がるし、勇気づけられると思うので、区間賞を目標に頑張りたいと思います。 "その1秒をけずりだせ"っていうチームスローガンがあるように、最後まであきらめない走りは、自分自身の持ち味でもある。あきらめずにしっかりラストスパートするところを見ていただけたら」 20年連続のシード権はもちろん、さらに上位進出へ。小林はチームを勢いづける走りを、箱根路で見せるつもりだ。
和田悟志●取材・文・写真 text & photo by Wada Satoshi