伊豆天城山で初の登山道整備ワークショップ 歴史の道「二本杉歩道」復活へ
伊豆天城山にある「二本杉歩道」の復活を目指す地元有志の任意団体「天城トレイルワーカーズ」が11月23日・24日の2日間にわたり「登山道整備ワークショップ」を開く。(伊豆下田経済新聞) 【写真】登山道整備の様子 天城山は伊豆半島最高峰の万三郎岳や万二郎岳を擁し、東海道三島宿の三島大社を起点に天城峠を越えて下田へ至る「下田街道」が通る。この道は文化庁認定の「歴史の道百選」に選ばれ、幕末には吉田松陰やアメリカ総領事ハリスも歩いた。しかし、その一部である二本杉歩道は自然浸食により、ここ10年ほど通行止めとなっている。 歴史ある古道の復活を目指し、河津町でアウトドア活動を展開する「KURA-RUN OUTDOORS」代表の倉原卓也さんが2023年に設立した同団体。倉原さんは山に親しむ中で登山道整備の持続性の問題を感じ、これを改善する仕組みが必要だと考えてきた。自身が総合ディレクターを務めるトレイルランニング大会「天城アタック35」を機に、河津町役場に大会運営と併せた整備計画を提案し、町と協力しながら活動を続けている。 ワークショップには、2013(平成26)年に優秀な登山家に贈られる国際的な賞「ピオレドール賞」を受賞し、甲斐駒ヶ岳の七丈小屋を運営する花谷泰広さんをゲストに迎える。花谷さんは一般社団法人「北杜山守隊」を設立し、山梨県北杜市を拠点に登山道保全活動を行っている。 初日、参加者は午前9時に道の駅「天城越え」に集合。天城山の八丁池周辺で崩れた登山道を観察し、崩壊の原因やメカニズムを学ぶ。その後、修善寺温泉で約1時間の座学を行い、地元食材を使った夕食を共にしながら意見交換と親睦を深める。「山を守ることは流域や海の環境保全につながる。地元の豊かな食材を通じてそれを感じてほしい」と倉原さん。 2日目は、特別な許可を得て通行止めの二本杉歩道に入り、周囲の石や土を活用した整備作業を行う。今回の整備活動は、水の流れや土砂の堆積を観察し、自然が安定する構造を再現するのが特徴。「自然に逆らわない整備は植生の回復と構造の保護につながり、持続的な保全を実現する」と倉原さんは説明する。 現在、同団体は倉原さんを含め伊豆在住の4人で活動している。二本杉歩道の整備は数年かけて進める計画で、今後は伊豆各地の登山道整備も視野に入れる。「天城山エリアには、登山道だけでなく周囲の環境が悪化している場所が多い。それを改善して歩きやすい登山道を提供することで、地元や観光客に安全な登山を楽しんでもらえたらうれしい」と話す倉原さん。「山は環境の源。登山道の整備を通じて地域の生態系を守りたい」と意欲を見せる。 参加費は2日間で1万6,000円(夕食付き・宿泊費別)。定員は20人。申し込み締め切りは11月15日。
みんなの経済新聞ネットワーク