「公職選挙法」のせいで日本は「小物政治家」ばかりになる…行政評論家が提案したい「解決策」
政治の「専門職」を作る
では、そういうルール違反の連鎖を引き起こさないためにはどうしたらいいのだろうか。当たり前の話になるが、公職への立候補予定者・現職政治家、その周囲の人たちが、公職選挙法や政治資金規正法に対する正しい知識を身に付け、誤りなく実践してもらう仕組みが必要だ。 そこで考えられるのが、こうした政治活動を支える後方業務の遂行に当たり必要な知識(公職選挙法や政治資金規正法、政党助成法など)を有するかどうかを判定する試験制度を創設することだ。合格者には国家資格を付与し、国・地方の政界で、専門職として遇してもらう環境を作るのである。 選挙や政治資金の仕組みはコロコロ変わるので、一度合格するだけではダメで、宅地建物取引士資格のように、何年かに一度は更新講習受講を義務付けるなどして、資格の価値を高めることも必要だ。 現在、政治に関する資格と言えば、国会議員の政策担当秘書の資格くらいしかないが、政党の事務局職員や議員秘書などのスタッフには、新しい資格の保有者を登用すれば、法令違反のリスクは減らせるはずだ。国会議員秘書や政治団体には、有資格者の登用を努力義務とする(一定の猶予期間後は必置にする)くらいはしていかないと、資格の価値は上がらないと思われる。 政治家が、選挙や政治資金の関係で法令遵守を確実なものとするために、専門職の助けを借りる。それで後顧の憂いをなくし、政治活動に邁進できる環境を作る……。決して荒唐無稽な提言では無いと筆者は考えている。 プロスポーツ選手などのVIPが、税務などを周囲のスタッフに頼ることで、安心して本業に集中し、最大のパフォーマンスを出してくれれば、彼(女)らの活躍で歓喜する一般国民の利益にもかなう。政治家についてもそれと同じで、彼(女)らが政治活動に集中できる環境を作ることが、結果として国民のためになるはずだ。 ーーーー 筆者連載〈斎藤知事で終わりではない「パワハラ首長」…ここまで注目されているのに解決が難しい「意外な理由」〉もあわせてお読みください。
大原 みはる(行政評論家)