「公職選挙法」のせいで日本は「小物政治家」ばかりになる…行政評論家が提案したい「解決策」
「うっかり違反」してしまったら
ただ、このように現在政治家を支えている周囲のスタッフが全員、十分な法律の知識と経験を持ったスペシャリストなのかといえば、必ずしも能力の保証はない。問題はそこなのだ。 たしかに経験豊富な選挙プランナーなら、選挙活動の随所で、「ここまでは大丈夫か?」などといちいち警察に確認するなど、「コーナーギリギリ」を攻めつつも、違反にはならない選挙活動をアドバイスできるだろう。 一方で、公職選挙法のルールを十分に理解しないまま、「イケイケドンドン」のノリでPR会社が選挙広報を担当し、違法と疑われてもしかたがない勇み足を踏んでしまったのが、今回の兵庫県知事選挙のケースではないだろうか。 法的に問題がないのなら堂々と反論すればいいのに、過去の投稿を削除して雲隠れしてしまったことで証拠隠滅を図ったように見えてしまい、かえって疑いを強めてしまった。能力を見誤った選挙参謀をつけると大変な目に遭ってしまう典型例だろう。 また、政治資金の管理についても、経験豊富な秘書や後援会組織を、引退する議員から引き継げたならともかく、地盤も何もないゼロから選挙に出て当選できた議員のような場合、素人同然の人たちに周囲のスタッフを任せざるを得ないこともある。 その結果、複雑なルールを十分理解せず、実務の中でうっかり法令違反をしてしまっている可能性がある。政治資金収支報告書の不記載なども、故意に隠そうとしているケースばかりではなく、おそらくそういう原因で起こっているのではないだろうか。 いずれにせよ、とにかく全国各地で、公職選挙法や政治資金規正法違反の事例は起こりまくっている。交通違反のように見つからずに済んでいるものも相当あるだろうし、仮にインターネット経由で暴かれたとしても軽微なものは警察がいちいち動かないケースもたくさんあるため見過ごされてきたといえる。 ある意味「見つからなければいいや」で起きる脱税と似た側面もあるかもしれないが、かといって正直者がバカを見る状況になると、ルールが有名無実化されかねないので、それも問題である。