データ活用人材の育て方 | ゴルフダイジェスト・オンラインのCMOが実践してきたこと
システムリプレースで人材を育てる
さて、属人化の問題はどこの企業でも頭の痛い課題だろう。担当者しか業務内容を理解できていない属人化が進むと、その担当者が退職すると業務が立ち行かなくなってしまう。 ┌────────── 当初は業務内容のすべてをドキュメントにしていても、そのうちにドキュメント化が形骸化していき、いつの間にか誰もがわかる状態ではなくなってしまうんです。 苦肉の策ではありますが、GDOでは5年に1回ほどシステムリプレースを行っています。リプレースすると、データモデルを理解しないといけなくなりますから、人が育ちます。また、リプレースをやろうとすると断捨離することになりますから、システムがスマートになります(志賀氏) └──────────
データ活用人材のキャリアパス(可能性)
本セミナーの最後の話題は、データ活用人材のキャリアパスについてだ。志賀氏は「事業会社にキャリアパスがないと辞めてしまう原因にもなる」と課題点を指摘し、それを受ける形で小畑氏は「多くの企業がまだ準備ができていない状態だ」と現状を説明した。では、GDOではどのようなキャリアパスがあるのだろうか? たとえば志賀氏は、GDOに入社後、IT戦略室長となり、情報活用推進部部長を経て、お客さま体験デザイン本部(現UXD本部)を設立して本部長となり、2018年に執行役員CMO/CIOになった。システム系からマーケター寄りのキャリアを歩んでいる。この志賀氏の立場になるには、どうすれば良いのだろうか? ┌────────── GDOのおもしろい取り組みとして、“人”に予算を付けることをしています。たとえば、エンジニアに予算を渡すから「データ活用」するためのシステムを考えてみて、といった形です。すると、開発する視点に加えて、マーケティングの視点も養えて、結果的にデータを扱えるマーケターに育ちます。自分に付いた予算のために真剣に取り組むと、外的要因もみえてくるようになって、先を読むことができるようになります。 実際に、この予算を付けるという方法で、セールスフォースを担当していたエンジニアがMA(マーケティングオートメーション)のエンジニアになって、いつの間にかマーケターになり、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進人材になった例があります(志賀氏) └────────── ◇ ◇ ◇ 企業でデータ活用を進める際、課題はたくさんあるだろう。資金不足や取得できるデータの欠如、技術的な面での課題もあるだろうが、組織体制や人材不足も大きな課題だ。もしかしたら、一番の課題だという企業も多いのではないだろうか。今回は、必要な人材の配置や人を育てるという視点から「理想的なデータ活用フロー」を考えた、興味深いセミナーだった。ぜひ、参考にしてほしい。