演技で歌でワクワク届けた中山美穂さん 自らドラマの主題歌も「アイドル歌手兼アイドル女優」という二刀流の先駆け
6日に亡くなった女優で歌手の中山美穂さん(享年54)は、1985年に彗星(すいせい)のごとくデビュー。いきなりアイドル界の頂点に立った。芸能生活の転換機となったのが、10年後の95年に出演し、報知映画賞の主演女優賞を受賞した映画「Love Letter」。アイドルから女優へと脱皮した中山さんは年齢を重ね、今後のさらなる活躍が期待されていた。 【写真】12月5日に最後のインスタ投稿「心がえぐられて」 1980~90年代を代表するトップアイドルだった中山さん。大きな瞳と神秘的で大人びたビジュアルは、昭和・平成の歴代アイドルの中でも群を抜いた存在で、松田聖子、中森明菜、小泉今日子らに続く存在として頂点に立ち続けた。 中山さんは中学1年の時に原宿でスカウトされ芸能界入り。当時のアイドルとしては珍しく、歌手よりも先に女優として14歳でデビューし、85年のTBS系ドラマ「毎度おさわがせします」のツッパリ少女・のどか役で一躍人気となった。刺激的なセリフやシャワーシーンなど、健康的な色気で人気を博し“不良っぽさ”で支持を得た。 85年にシングル「C」で歌手デビューし、同年の日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得。同曲は主演ドラマ「夏・体験物語」(TBS系)の主題歌にも起用され、自らドラマの主題歌も歌う「アイドル歌手兼アイドル女優」という二刀流の先駆けに。「ママはアイドル!」「君の瞳に恋してる!」「逢いたい時にあなたはいない…」「For You」「おいしい関係」「眠れる森」など主演ドラマは20%超の視聴率を記録するなど連ドラの女王としても君臨した。 初期は、作曲・筒美京平さん&作詞・松本隆のゴールデンコンビでヒットを連発。ダンサブルな音楽に、時代に即したドキッとさせるような歌詞でティーンを夢中にさせた。竹内まりや、小室哲哉らアーティストから提供された楽曲で高い音楽性も評価された。バラード楽曲にも定評があり、角松敏生から提供された「You’re My Only Shinin’Star」や、単独名義では最多売り上げ(104・8万枚)となった「ただ泣きたくなるの」は女性人気も高く、幅広いファン層を獲得した。 またロックバンド「WANDS」と組んだ25枚目のシングル「世界中の誰よりきっと」が累積売り上げ183・5万枚を記録。カラオケで長く歌い継がれる名曲となった。今では当たり前となっている“コラボレーション”の開拓者でもあった。(売り上げ枚数はすべてオリコン調べ)
報知新聞社