《ブラジル》特別寄稿=ブラジル日系人の8個の価値観=海外日系人協会常務理事=ブラジル日本文化福祉協会顧問=森本昌義
女性の活用、多様な人材の尊重が発展の基盤
日本経済は、20世紀末から低迷、というより他国と比べ衰退しています。国民ひとり当たりのPIBは、20世紀末には世界の5位に入っていましたが現在は32位で相対的に貧乏になりました。スイスのIMDが毎年調査する国際競争力調査では1989年から92年の4年連続で日本は世界1位でしたが、今はなんと38位に落ちています。政府やビジネスで効率が良くないことがその理由ですが、根本原因は個々の働きや努力が報酬や昇進にほとんど関係しない終身雇用・年功型賃金がいまだにほとんどの企業で存在しているからです。 この制度は、20世紀後半、良質で均質な大量の労働力が必要であった大量生産時代には安定した生産のベースとなりきわめて有効でした。しかし、現在はITが全面的に導入されAIやイノベーションを推進する個々の能力発揮が必要とされています。つまり、個を大切にして女性の活用は当然のこと、多様な人材を重んじることが発展の基盤になっているのです。残念ながら多くの大企業の経営幹部は自らの保身や既得権益の保守に走り、勇気をもって変革しないので、日本経済は凋落の一途をたどっているのです。 かつてブラジルに移住した日本人とその子孫の方々は、個を大切にし能力を評価するブラジル社会に積極的に適合して、自らを変革なさったのでしょう。その結果今日の日系ブラジル人の地位があると思います。現在の日本人がぜひとも見習わなければならないことでありましょう。