人口減少と仕事、暮らし 福知山市長選挙を前に・上
任期満了に伴う京都府福知山市長選挙は6月2日に告示され、現職と新人2人の三つどもえの争いになるとみられる。人口減少による生活環境の変化、コロナ禍後の地域活性化、農林業や経済の振興、老朽化したインフラの整備など、福知山市が抱える課題が山積する中、まちづくりのリーダーに誰を選ぶのか。人口減少▽公共交通▽観光振興の3課題を追った。
■人手不足が顕在化
住民基本台帳を基にした人口動態によると、福知山市の人口は2023年で7万6075人(1月1日時点)。10年前の8万1121人(3月31日時点)から6%減っている。福知山市に隣接する京都府・兵庫県の北部9市町は軒並み9%減~19%減。出生数も同様に、22年の福知山が615人(1月1日時点)で、9年前の808人(3月31日時点)から24%減。9市町は27%減~49%減となっている。 隣接市町と比べると人口、出生数とも福知山市の減少幅は比較的緩やかだが、市内の中小企業、福祉や保育施設などでは数年前から人手不足が顕在化しており、営業日数の減少、サービスの縮小を余儀なくされる事業所や施設があり、影響が広がっている。 業界に関係なく、転職も含めた正規雇用者の確保は共通の課題。市もそうした課題を認識し、北京都ジョブパーク、ハローワーク福知山、隣接市などと協力し、年に数回、市内外での合同就職説明会や企業説明会を開いている。 福知山商工会議所中小企業相談所の桐村信太郎所長(48)は「各種説明会の企業側の参加申し込みはすぐに埋まる状況が続いており、人材確保にかなり敏感になっている」という。一方で、新卒採用は全国的に獲得競争が激化しており、初任給が上がっている都市部に対し、地方都市は苦戦している現状がある。一部では「色々と行動しても人が来ない」との声が出ている。 採用情報のPR方法はチラシ、雑誌、新聞、インターネットなど多様化し、転職サービスといった業態も出現して選択肢はある。ただ、利用したからといって採用につながるわけではなく、費用対効果で悩む企業の姿も見える。 桐村所長は「若手はもちろん、40代、50代といった年齢層でも人手不足の声を聞くようになっています。特効薬的な取り組みが無い中、地道なPRの積み重ねが必要で、地元の企業の魅力を知ってもらえる機会がさらに増えれば、助けにはなる」と話す。