<最高の花道へ―’22センバツ・東洋大姫路>支える人たち 寮生に夕食提供、安井さんと迫田さん 大盛りご飯で体づくり /兵庫
◇杵屋のシェフ、腕ふるう センバツに出場する東洋大姫路の選手たちは半数が寮で生活している。実家を離れた寮生たちに夕食を提供し、大事な体づくりを支えているのが「杵屋書写お菓子の里」(姫路市書写)だ。 寮生たちは毎日午後8時ごろに練習を終えると、自転車で店に向かう。テーブルには新型コロナウイルス対策で、個別にパックに詰められたから揚げやたらこパスタ、シューマイなどが並べられ、茶わんに大盛りのご飯とみそ汁を受け取って、食べ始める。ご飯は1人最低2合を食べるようにしている。 寮生はこれまで、学校の食堂で夕食を取っていたが、新型コロナの影響で食堂が閉鎖。藤田明彦監督が友人の会社員、安井彰一さん(55)の紹介を受け、2020年4月から、野球部のグラウンドに近い杵屋で夕食を提供してもらえることになった。藤田監督の「選手たちの体を大きくしたい」という要望から、シェフ4人がボリュームのある献立を作成。選手用に同市夢前町の農家も協力し、安くておいしい米を仕入れている。 食事の量が多く、当初は食べ終わるまでに2時間かかる選手も多くいたが、最近は40分ほどで食事を終えるようになり、体つきもたくましくなった。店長の迫田光広さん(48)はそれまで野球にあまり興味がなかったが、今では東洋大姫路のファンとなり、試合で勝利するたびシェフらと喜び合っている。 安井さんもほぼ毎日、会社が終わると店を訪れて手伝い、選手たちの茶わんにご飯をよそう。ざっくばらんに接し、日焼けのケアやけがなどの相談に気軽に乗っている。1年の時には食事に2時間かかっていた橋本好誠選手(2年)は秋から体重が3キロ増し、67キロとなった。「打球の飛距離も伸びた」と体の成長を実感している。 安井さんは「藤田監督にとって最後の甲子園。選手たちもきっと頑張って勝ってくれるだろう」と期待を込める。迫田さんは「小柄だった選手がレギュラーになって活躍してくれるのがうれしい。甲子園でも勝ってほしい」と願う。【後藤奈緒】 〔神戸版〕