ペットボトルの水平リサイクルが拡大、飲料各社で自治体・企業との協定や啓発活動進む、“ボトルtoボトル比率”は年々上昇し29%に(2022年度実績)
飲料大手各社の「ボトルtoボトル」比率(植物由来などサステナブル素材含む)を見てみると、コカ・コーラシステムが2022年に50%を達成し、サントリー食品が2023年に53%となった。また、アサヒ飲料は同年に18%、キリンビバレッジは28%まで年々高めている。 ただ、近年はリサイクル素材の価格が高騰している状況だ。環境に配慮する素材を使用すればするほどコストが上がっていることは業界の課題となっている。
各社は水平リサイクルを進めるにあたり、使用済みのペットボトルの回収を積極的に進めている。そのため、オフィスビルや商業施設、自社工場がある自治体などと連携する動きがここ数年は活発になっている。また、スポーツ大会など、人々の注目するイベントでも活動が広がっている。大塚製薬は今年3月、東京マラソンとしては初となる「ボトルtoボトル」に取り組み、給水所でランナーに提供した飲料のペットボトルを分別回収した。
他社とタッグを組むケースも増えている。2023年9月には、伊藤園とアサヒ飲料、キリンビバレッジが、愛知県小牧市でペットボトルの水平リサイクルの連携協定を結んだ。アサヒ飲料とキリンビバレッジは、茨城県の4市でつくる常総地方広域市町村圏事務組合とも同年7月に連携協定を締結している。 その他、全清飲は自販機横に設置されているリサイクルボックスを、異物削減効果の高い新タイプに進化させ、2022年秋から展開している。
両社は2023年10月20日の「リサイクルの日」に合わせ、渋谷でペットボトル水平リサイクルの啓発活動をそれぞれで行っている。日本コカ・コーラは、「リサイクルボックスの中をのぞいてみた展」を宮下公園で行い、サントリー食品は、稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんを起用し、渋谷センター街でフラッグ掲出などを行い、ペットボトルの分別回収を呼び掛けた。 清涼飲料業界では、CO2削減や水資源保護、物流問題など、取り組む課題は多い。その中で資源循環社会の実現に向けたペットボトル水平リサイクルの活動は、各社が積極的に取り組み、成果が出ている分野といえるだろう。
食品産業新聞社
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