日銀の利上げ、年内2回で0.5%もあり得る-伊藤コロンビア大教授
円安への対応
根強い円安傾向を転換するため利上げが必要との声に対しては、「日銀は為替レートを目標にしておらず、説明がつかない」と反論。利上げをするとしても、例えば1ドル=135円くらいにしたいのであれば「1%では無理だ。2%くらいに上げるなら有意に効くと思うが、国内経済に大きなインパクトを与えるだろう」と語った。
円相場は4月から5月の大型連休中に一時、160円台まで下落後に政府が円買い介入を2回行ったとみられており、足元では157円前後で推移している。伊藤氏は、その後1カ月近く経過しても160円に戻っていないとし、「介入は成功したと言える。160円はしばらくないという期待を植え付けた効果はあった」との見解を示した。
30日の債券市場では、米長期金利の上昇や日銀による国債買い入れ減額の思惑などを背景に、長期金利が一時1.1%と2011年7月以来の水準に上昇した。
日銀は現在、3月の政策変更前とおおむね同程度の月間約6兆円の買い入れを継続しているが、伊藤氏はいわゆる量的引き締め(QT)をわざわざ宣言してやる必要はなく、市場の状況を見ながら少しずつ減額していけばいいと指摘。長期金利が1.5%程度まで緩やかに上がっていくのであれば、経済に大きな問題はないとみている。
伊藤氏は国際金融やマクロ経済に精通し、日銀が21日に開いた金融政策の多角的レビューに関する第2回ワークショップのパネルディスカッションにも参加した。黒田東彦前日銀総裁の財務官時代に副財務官を務め、黒田氏にインフレ目標政策を指南したとされる。昨年の日銀総裁人事では、候補者の一人として名前が挙がった。
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Sumio Ito, Toru Fujioka