《トランプ氏返り咲きで日本株への影響は?》億り人3人が教える「買う株/買わない株」の境界線
日経平均株価はトランプ氏の大統領返り咲きの動きに機敏に反応して11月6日だけで1000円超の値上がりを見せた。だが、その後は伸び悩む展開となった。独自の相場観をもとに株式投資で億万長者となった「億り人」たちは、この難しいトランプ相場をどう見通しているのか──。
資産20億円超を築き、88歳にして現役デイトレーダーの藤本茂氏は、トランプ氏の再登板によって米国内のインフレが再び強まり、当面は「円安ドル高」基調が続くとの前提に立って、銘柄選びを進めていると語った。 「海外売上高比率が高い企業は円安メリットで好業績が続くと予想されます。なかでも日本精機や竹内製作所などのように配当利回りが4%を超える銘柄は投資家の人気が高まり、株価上昇期待が膨らむ。また、たとえトランプ大統領がどんな政策を掲げようとも、IT業界の成長は確実に続くと考えられるので、独立系ソフト開発会社の東海ソフトなども注目される」 割安な成長株を見つけて株価10倍を狙う手法で資産3億円を築いたはっしゃん氏はこう言う。 「トランプ氏の選挙戦中のリップサービスと実行に移される政策がどこまでつながるのかの見極めは難しいが、再登板の波に乗る手段はあります」 割安成長株を長期保有して利益を大きくする投資スタイルのはっしゃん氏は、「今まで上がり基調である銘柄をさらに買い増す方針」だという。 「トランプ氏の“米国第一主義”に伴う円安回帰で、低金利の円を借り入れて運用する円キャリートレードが見込める三菱UFJフィナンシャル・グループなどの金融株は、さらなる株価上昇が期待できる。 一方、トランプ氏の影響が薄くて円安メリットも享受できるのは、任天堂など世界的人気の高いIP(知的財産権)コンテンツを持つ銘柄。そのなかで業績が良い企業を選ぶのが良いでしょう」
エネルギー関連は疑問視
会社勤めをしながら高配当株投資で2016年連続黒字を記録し、総資産1億8000万円を超える兼業投資家・なのなの氏は今後の見通しをこう語る。 「日米間の通商交渉もトランプ氏の経済政策もなかなか見通しを立てづらい。そうした不透明感もあって日経平均は下限が3万6000円、上限は4万円というレンジ相場が当面続くと予想しています。どちらに転んでも良いように、臨機応変に対応できる銘柄に投資をしています」 具体的にはどのような銘柄に注目しているのか。 「中国塗料のように米欧よりも東南アジアなどの比率が高く、業績好調な銘柄は底堅く上値が望めるはず。国内需要をしっかり掴んでいる企業も米国に振り回されにくく、ペイペイやLINEを展開するソフトバンクなどは安定性と成長性を兼ね備えた銘柄と言えます」(なのなの氏) 一方、投資するには慎重な検討を要する銘柄もあるという。 「トランプ政権1期目では化石燃料を拡大するエネルギー政策への期待から石油はじめそれらに関連する銘柄を買う動きがありましたが、大幅な上昇は見られなかった。今回も期待は高まっていますが、前回のトランプ政権時と同様の結果となる可能性がある。バイデン政権が重視してきたEVや再生可能エネルギー関連を含め、様子見しています」(なのなの氏) はっしゃん氏は「トランプ氏の掲げる関税引き上げが逆風となる自動車業界や連れ安となる可能性がある自動車部品関連については、ひとまず静観しています」と語る。 億り人たちは今後の相場をどのように乗りこなすのか。マネーポストWEBではトランプカムバックで爆騰が期待できる銘柄10選を一覧表にまとめたので、参考にしてほしい。 ※週刊ポスト2024年11月29日号