算数の苦手な子が「すぐに克服したほうがよい分野」は? 「中学受験をしないなら後回しにしてもOK」という分野も解説
■「位」 がわからないと致命傷になる 一方で、数字の「位」という概念が理解できていないというのは、算数の学習を進めるうえで致命傷となりかねません。位がわからないと大きな数字は読めませんし、小数点を打つこともできません。 「百の位で四捨五入してください」 「小数点2桁で答えてください」 「概算してください」といった問いが何を求めているのか、すべてわかりません。さらに、「0・78を分数にすると何ですか」のような小数と分数を行ったり来たりする問いや、3・14の円周率の計算にも対応できません。位はあとからなかなかリカバリーが効かない重要な単元なのです。 算数という教科で扱われる数は十進法で、位をもとに作られています。したがって、位がわからないというのは、数の仕組み自体がわかっていないということになります。それで算数ができるようになるはずがありません。 ところが、算数の大黒柱と言ってもいいくらい重要であるにもかかわらず、現行のカリキュラム構成では、位は1年生でさっと触れられてすぐに終わったあと、次に2年生の後半で出てくるまで実に1年間放置されます。 そのせいで、学校の授業を普通に受けているだけでは、ものすごく苦手になりやすい分野になってしまっているのです。 ■位がわからないと、目盛りや単位もわからない 位と関連する「目盛り」も非常に重要です。 整数が12、13、14、15、16、17、18と1ずつ刻んであって、15と17の間を空欄にして「ここの数字は何ですか」と聞けば全員が「16」と答えられます。 しかし、1と2の間を百等分した目盛りのここが1・78ですというと、もうわからない子が出てきます。逆に、大きな位でいえば、100、110、120......と10きざみで続いて200まである目盛りの、113はここを指しますというのがわからない。1の刻みでない目盛りが数えられなくなるわけです。 ここができなくなると、 「単位」もわからなくなります。リットルを10で割ってデシリットルに、キロメートルに1000を掛けてメートルに換算するということができません。つまり「倍数」がわからない。「四捨五入」も「およその数」も「繰り上がり・繰り下がり」も「小数点」も全部落とすことになるので、高学年になるとほとんどすべての問題で点が取れなくなります。