防戦一方に終わったソフトバンク まず「1点」を取らなければ…7回の好機に代打策はなかったか【評論家の視点】
◆SMBC日本シリーズ2024 第5戦 ソフトバンク0―7DeNA(10月31日、みずほペイペイドーム) 敵地の横浜で連勝して、一気に本拠地の福岡で日本一を決めるか、と思われたソフトバンクが3連敗で王手をかけられた。 ■投げ終わった後のしぐさと笑顔がたまらん…山下美月の始球式【写真複数】 短期決戦は「流れ」が目まぐるしく変わり、つかんだ方が優位に試合を運べる。DeNAは第3戦の東の力投から逆襲に転じ、第4戦のケイの快投でタイに持ち込んだ。この「流れ」を大切にしようと、野手陣もつなぐ意識に満ちていた。 故障明けで、しかも日本シリーズ初先発の大関に対して際どい球を見極め、ファウルで粘る。打線が文字通り「線」となり、束になって圧力をかけてきた。何とか持ちこたえていた大関ながら、3回持たなかった。大関をマウンドから引きずり下ろしても、DeNAの各打者の集中力は途切れず、6回の時点で先発全員安打。三者凡退のイニングもなかなかなかった。 ソフトバンクの野手にすれば、守っている時間が長く、難しい展開になった。突破口のチャンスは1点を追う3回だった。先頭の9番周東が出塁し、上位に回した。ここで1番に抜てきされた笹川は飛球を打ち上げて走者を進められなかった。次打者の柳田の打席で周東が走り、結果として得点圏の形をつくっても、どこか淡泊な印象は拭えなかった。付け加えるなら、7回のチャンスで打者・嶺井の場面、あそこで代打策はなかったか。中村晃も柳町もいた。追いかける立場からすれば、まず「1点」を取らなければ、その先はない。 福岡での3試合で無安打に終わった山川は調子うんぬんよりも、甘い球が来ず、我慢の打席が続いている。捕手戸柱の配球もあって、打ちたい気持ちを逆手に取られるように、この試合は変化球で崩されていた。 もう後がないソフトバンクにとって救いなのは、有原、モイネロの両輪が控えていることだ。雨予報の天気もあって「流れ」が今後どう動くのか、分からない。とにかく先発投手が先制点を与えず、逆に先手を取って主導権を握りたい。(西日本スポーツ評論家) 【#OTTOホークス情報】
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