アンテナショップ客足戻る 都内7割で売り上げ増 人流回復、移転・改築も奏功
東京都内にある自治体アンテナショップ61店舗の2023年度の売上高が、新型コロナウイルス禍の収束で人流が増え、前年度比で回復基調となったことが、地域活性化センター(東京都中央区)の調査で分かった。「北海道どさんこプラザ有楽町店」が4年ぶりに10億円を突破。調査店舗の72%で前年度比の売上高が増えた。 東京・有楽町にある北海道どさんこプラザ有楽町店で同級生とのパーティーのために買い物に来た都内在住の大学生、阿部吉晟さん(22)は「北海道は食べ物でいいイメージがある」と笑顔だ。札幌市出身の同級生、井上元さん(21)は「特産品が魅力」と来店理由と話した。 同店は、北海道産の農畜産物や水産物、加工品などが並び、常に多くの人でにぎわう。売り上げの40%を占める菓子類が最も人気が高い。
県や市町村などの自治体が設置した独立店舗を対象に、24年4月1日を基準日として調査。店舗数は過去最高だった前年度より1減の61店舗だった。 アンテナショップの売上高を部門別で見ると、飲食部門は「坐来大分」と「かごしま遊楽館」が売上高2億円を達成。物販部門は「北海道どさんこプラザ有楽町店」「銀座わしたショップ本店」(沖縄)が売上高7億円以上だった。コロナ後を見据えた店舗運営の見直しに伴う移転・改築などが影響した。 年間売上高の前年比で見ると、44店舗が増加し、4店舗が減少、横ばいは8店舗、無回答・非公表は5店舗だった。年間売上高は10億円以上が1店舗(前年度0)。7億円以上10億円未満は「ひろしまブランドショップTAU」と「銀座わしたショップ本店」の2店舗(同3)、5億円以上7億円未満は「いわて銀河プラザ」「宮城ふるさとプラザ」「香川・愛媛せとうち旬彩館」「かごしま遊楽館」の4店舗(同2)だった。オンライン部門は「銀座わしたショップ本店」が唯一、売上高5000万円に達した。 地域活性化センターは「実店舗で各地の商品が買えるアンテナショップにコロナ禍後に足を運ぶ人が増えた。アンテナショップは移住の案内も行っており、地域への関心を高めている」とみている。 (後藤逸郎)
日本農業新聞