ひとり身高齢者の逝去…相続人が苦しむ「3つの深刻な問題」とは?【司法書士が解説】
(2)相続登記や手続きを主導する相続人がいない
相続財産は、相続人がほしがる財産ばかりではありません。むしろ最近では「積極的に相続したくない」といった声も増えてきた印象です。 たいていの方の相続財産は、「預貯金や有価証券などの財産」と「不動産」に大別されます(上場していない会社を経営しているオーナー社長の場合は自社株式もありますが、これは除きます)。 預貯金や上場株式の証券等なら、手間や時間はかかるものの現金化することができますが、不動産は、売却しない限り現金化することができず、売却のためには不動産を承継する相続人を決める必要があります。不動産の登記制度がある以上、不動産の所有者は登記簿謄本上で公示されており、登記名義人が「死者の名義のまま」では売却できません。 よく問題となるのは別荘地で、東京や横浜で亡くなられた方の相続でしばしば遭遇します。関東で多い地域は「房総」「那須」「湯沢」「伊豆」「富士五湖周辺」等です。被相続人も晩年は利用せず、子どもをはじめとする相続人も別荘を使った記憶がない、というケースも多くあります。 不動産会社に相談しても「無料でも引き取れない」といわれ、そのまま所有していては管理費や修繕積立金が発生するだけなので、お金を出して処分してもらう場合もあります。 また、子どものない方が亡くなられた場合、自宅の土地が亡くなられた方の、さらに先代から引き継がれているといったケースもあります。こうなると、空き家となった自宅を処分する必要が出てくるケースが多いでしょう。 上記のような「訳アリ不動産」がある場合、別荘地や空き家の管理に関わりたくないという人が大半です。そのため、率先して手続きを行う、専門家に依頼するといった人がだれもいないという状況になることもよくあります。 また、地方の不動産で課税標準額が免税点となり、固定資産税等が非課税になっている場合は、当事者意識が薄い、あるいはまったくないため、依然として放置されてしまうことになります。