野外に集まったロシア兵にまたクラスター弾攻撃 8カ月で6回目
ロシア軍の兵士らが訓練や点検のため、ウクライナ軍の米国製ロケット砲の射程圏内の野外に集まったのはこの8カ月間で少なくとも6回目だった。ウクライナ軍のロケット砲部隊は過去5回と同じように、擲弾(てきだん)サイズの子弾数百個をばらまくロケット弾で彼らを攻撃し、殺戮した。 この攻撃は今週、ウクライナ南部ザポリージャ州の屋外射撃場に対して行われたもようだ。ウクライナ軍の監視ドローン(無人機)はロシア兵少なくとも数十人が訓練しているのを見つけ、現場の位置情報を第27ロケット砲兵旅団の部隊に伝えた。第27ロケット砲兵旅団はウクライナ軍で米国製高機動ロケット砲システム(HIMARS)を運用する唯一の部隊だ。 装輪式のHIMARSは子弾約400個が詰め込まれたM30とみられるクラスター弾頭ロケット弾を少なくとも1発発射した。子弾がばらばらと射撃場に降り注ぎ、映像では少なくとも1発が訓練兵の立っていた場所で爆発している。狙われた部隊にとって破滅的な数の死者が出た可能性がある。 ロシア軍はたびたび、M30などウクライナ軍の保有する最も高性能な米国製ロケット弾が届く範囲で兵士の野外訓練を行っている。この危険な訓練は、ウクライナで1日1000人超のペースで人員を失い、その補充のために月に新兵3万人を準備不足のまま送り込んでいる軍隊の、プロ意識の欠如の表れだ。 9月中旬にも、前線から25kmくらいしか離れていないウクライナ東部ドネツク州ペトロウシキー地区のロシア軍訓練施設がHIMARSで攻撃され、ロシア兵少なくとも十数人が死亡した。周辺では今年2月以降、ロシア軍の訓練場がほかに少なくとも2回、ウクライナ軍のHIMARSで攻撃されており、合計でおよそ100人の死者を出している。 さらにこの間、ウクライナ南部と北東部でもウクライナ軍のロケット砲による攻撃でロシア軍の訓練兵ら少なくとも計150人が死亡している。 ロシアがウクライナで拡大して2年8カ月近くたつ戦争の1000kmにおよぶ前線では、監視ドローンが24時間いたるところを飛び回っている。ロシアがウクライナで占領している地域はすべて重量約300kg、射程約90kmのM30か、重量約1650kg、射程約300kmのATACMS弾道ミサイルのクラスター弾頭型M39の射程圏内に入る。M39はウクライナ軍では主に装軌式の多連装ロケットシステム(MLRS)から発射されているのかもしれない。