ボルティモアの橋崩落で米貨物輸送混乱へ、西海岸にシフト加速も
フォード・モーターとゼネラル・モーターズ(GM)は、代替ルートの確保に取り組んでいる。フォードのジョン・ローラー最高財務責任者(CFO)は26日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「大きな港で流通量が多いため、影響が出るだろう。当社は回避策を準備する。東海岸の他の港や国内の他の場所に部品を迂回(うかい)させなければならないだろう」とコメントした。
DATフレイト・アンド・アナリティクス社の首席業界アナリスト、ディーン・クローク氏によると、ボルティモアはコンバインやトラクター、掘削機などの農機・建機の全米有数の玄関口だ。中西部での作付けシーズンを控えた3月は、ボルティモアの農機輸入のピーク月だという。
サプライチェーンのリスク評価会社であるエバーストリーム・アナリティクス社によれば、ボルティモア港は鉄鋼やアルミニウム、砂糖などの重要なハブ港でもあり、毎週約30-40隻のコンテナ船が寄港している。米石炭商社エックスコールエナジー&リソーシズによると、最大250万トンの石炭輸送が妨げられる恐れがある。
IHSマークイットとウッド・マッケンジー傘下のジェンスケープの情報では、ボルティモア港内に約12隻の大型船とほぼ同数のタグボートが立ち往生しており、貨物船や自動車運搬船、「パランカ・リオ」というタンカーが船舶リストに含まれる。
崩落した橋は「フランシス・スコット・キー橋」で、1日当たり約3万5000人が利用。米国トラック協会によれば、この橋を通過する商品の価値は年間約280億ドル(約4兆2400億円)。
米国の国歌「星条旗」を作詞した人物にちなんで名付けられたこの橋は建設に5年を要し、1977年に完成。ある見積もりによると、建設費は約1億4100万ドルだったが、再建には「数十億ドル」かかる可能性が高いとアーバン・インスティテュートの研究員ヨナ・フリーマーク氏は指摘した。
バイデン米大統領は連邦政府が費用を負担することを望むとした上で、「港の再開と橋の再建のため全力を尽くす」と表明した。