ふぉ~ゆ~、キャリアに裏打ちされた確かな実力 ツアー『"PANIC"』観客を全力で楽しませる姿
Snow Man 岩本照がVTR出演するパートも
後半は、「Thank you for your love」を皮切りに「Velvet Touch」とオリジナル曲を披露。また、それぞれのソロステージは他のメンバーがお互いにプロデュースした。 ピンクのカーディガンを“プロデューサー巻き”にした越岡が登場し、「自分のやりたいことを表現する場だと思うんですけど、ふぉ~ゆ~のライブではお互いがお互いをプロデュースする……まぁいわゆる自己プロデュースではなくて……他己プロデュース!!(大声)」とコンセプトを説明。BGMはふぉ~ゆ~が歌う「Progress」(スガ シカオ)。ドキュメンタリー仕立てのVTRと共にソロステージへと突入した。 “ちゃん福”こと福田のソロステージを越岡がプロデュース。会場がグリーンに染まるなか、「雨に唄えば」(佐藤勝利/timelesz)を披露。リズミカルなタップダンスを交えながら一層大人っぽいステージに。一方、福田がプロデュースしたのは辰巳。「99%LIBERTY」(KinKi Kids)を元に、ルパン三世に扮した辰巳が歌いながらステージを駆け回り、松崎らが扮する銭形警部が追いかける、ステージを大胆に使ったコミカルなステージを繰り広げた。おともだちの心を盗んだ“たつパン”が、今度は笑福亭鶴瓶に。『A-Studio+』(TBS系)のパロディ番組で繋ぐなど辰巳プロデュースにより越岡が「花言葉」(A.B.C-Z)を披露。中盤に声に出さず「愛してる」と伝えると、会場からは悲鳴が。アイドル越岡によるキラキラとしたステージで魅了した。うっとりしたのも束の間……VTRでは説明会見が。松崎のプロデュースを誰がするのかと記者に問われると、本人がしどろもどろになる。隣に座る母(福田)が「お母さんに手伝ってもらいます」と耳打ち。“ささやき女将”親子のやりとりに会場からは絶えず笑いがこぼれた。「トゥクストゥールー」がこだまするなか、「BAD Desire」(堂本光一)のイントロが流れると、さらに沸くオーディエンス。鍋をかぶりゴミ箱を引き連れたロボットに扮した松崎。紫色に染まった会場にEDMの低音が響く中、ストーリー性の高い松崎ワールドを届けた。 そんな4人のステージを受けて、「うーん、いいんだけど……そっちに振りすぎだよね」とSnow Manの岩本照がVTRで登場。ふぉ~ゆ~の演出面について「そっちに飛ばしすぎ」とツッコミを入れつつ、「ふぉ~ゆ~はふぉ~ゆ~のことを全然分かってないと思います。僕の方が俯瞰でふぉ~ゆ~を見れてる」と語り、「僕が選曲をさせていただき、僕が振り付けをさせていただいた曲を披露したいと思います」と控えめにコメント。「カッコいいふぉ~ゆ~を!」と岩本が語ったように、さっきまでのわちゃわちゃが嘘のように、「ミッドナイト・トレンディ」(Snow Man)では大人の魅力に溢れるステージで魅了した。 終盤に差し掛かっているとはいえ、「Scandalous」「Haunted House」ではオリジナルダンスを披露。「Rock the Show」では辰巳が私物のエレキギターを披露するなど盛り上がりは天井知らず。 まさにふぉ~ゆ~のショータイムはまだまだ終わらないと言わんばかりに、ここからさらに回転数をあげるように白熱のステージで会場を包んで本編を完走。そして、ファンからのコールに応え、再び登場した4人。アンコールも元気いっぱいにステージを駆け回り、最後の最後まで、会場の隅々にまで届くように熱いステージを届けた。 これまで様々な“初”を獲得してきたふぉ~ゆ~。2019年には当時の事務所で初となるLINE公式アカウントの開設やLINEライブを開催。2022年11月開催のコンサートでは、コロナ禍開けの声出しを初解禁するなど先陣を切ってきた。そんな彼らが今回のツアーでは、過去最多の動員数を更新。夏ライブも、バンド生演奏取り入れたのも、前半のMCまでに1回もステージ裏にはけなかったのも初。オリジナルのイヤモニを作り、ハンドマイクで歌う場面が多いステージと、自分たちの“初”も更新した。 舞台仕込みの“いい声”による歌唱と美しいダンス、そんなキャリアに裏打ちされた確かなパフォーマンスと、持ち前の面白さと温かい心を添えたステージ。バンドの生演奏による深みのあるサウンドを浴びながら、限られた時間内にありとあらゆる演目を取り入れ、みんなを楽しませようと一生懸命にステージを駆け回る、どこよりも、誰よりも熱いふぉ~ゆ~のエンターテインメント。気は早いが、次のステージが待ち遠しい。
柚月裕実