「日本酒と言えば大吟醸」はもう古い…大の酒好きが「一周回っておいしい」と絶賛する日本酒とは
■「大吟醸だけ美味しい」時代ではない 米を磨かないからこそ、米を磨きやすい山田錦などの酒米に縛られなくなり、コシヒカリやササニシキ、つや姫など、食べるお米でお酒を造る酒蔵も増えてきました。先ほどの例で言えば、稲とアガベも食べても美味しいササニシキで酒づくりをしています。 「大吟醸は美味しい」はたしかにその通りですが、それだけでは日本酒の魅力を語り尽くすことができないほど、多様化が進んでいることがおわかりいただけたと思います。 ワインで例えるのであれば、この数十年はクリアな白ワインを追求する歴史でしたが、これからは複雑味のある赤ワインや自由な味わいのロゼを目指す時代になっていくと考えます。 ■これまでのイメージを覆す本醸造の実力 日本酒の長い歴史の中で生まれた発明が本醸造です。 私も「1周回って本醸造が美味しい」と周りの人に伝えるほど、本醸造が好きです。 改めて本醸造が何かというと、アルコールを添加したお酒のことです。本醸造を含め、アルコール添加を行っている日本酒を通称「アル添酒(てんしゅ)」と言います。 では、この添加しているアルコールが何かというと、端的に言えば甲類焼酎です。甲類焼酎として代表的な「大五郎」「キンミヤ」「ビッグマン」と言えばピンと来るかもしれません。 イメージとしては、緑茶に甲類焼酎を入れると緑茶ハイ、レモンと炭酸に甲類焼酎を加えたものがレモンサワーです。本醸造は純米酒に焼酎を入れた「純米酒ハイ」と考えると良いでしょう。 お酒における「添加」といえば、戦後の物資不足による苦肉の策で生み出された糖類や酸味料を添加した「ベタベタしたお酒」のように、どうしてもこのイメージが付きまとう方も多いと思います。今でも「純米酒が良いお酒」という考えを持つ方が一定数いらっしゃるのは、この名残と考えています。 しかし、現在では法律が変わり、「ベタベタしたお酒」は日本酒には分類されなくなりました。特に本醸造においては、糖類や酸味料を入れることはできず、アルコール添加の量も白米重量の10%以下に厳しく制限されます。 なお、実際のお酒1本あたりの添加量は7~8%程度だそうです。