お願いですから戻らせてください…資産1億2,000万円で歓喜の早期退職を実現した59歳会社員、わずか3ヵ月後に元職場へ復職の直談判。発端はある日届いた「LINEの通知」【FPの助言】
「どうか戻らせてください」失った約6,000万円と尊厳、そして妻の信頼
銀行や警察に連絡しました。しかし、資金は送金当日に引き出されていて追跡もできないとのこと。振り込め詐欺救済法により、口座にお金が残っていれば一部お金が戻ってくる可能性もありますが、このケースは無理とのこと。また、この種の詐欺師は海外にいる場合も多く、詐欺師を捕まえることはほとんど不可能とのことでした。 今から考えると、指定された口座の名義が個人名でその口座も何度も変わったり、少しメッセージの日本語がおかしいと感じたりしたこともありました。 貯金3,000万円と退職金2,000万円、そして、両親、弟、消費者金融から借りたお金の合計約6,000万円が一瞬にして消えてしまったのです。先生もアシスタントも生徒たちも、投資システムの画面に映し出されていた増え続ける資産も、すべて偽物だったのです。妻の優子さん(仮名、57歳)に事実を告げたとき、瀬戸島さんは妻の表情が凍りつくのを目の当たりにしました。 ついに、瀬戸島さんは意を決して、かつての勤め先を訪れ人事部長に頭を下げて懇願しました。「どうか、私を戻らせてください。どんな仕事でも構いません」 人事部長は、困惑の表情を浮かべながら「瀬戸島さん、正直に言うと難しいですね」その言葉に、瀬戸島さんの心は凍りつきました。
プロの詐欺師はこうやってあなたの心を操る―具体的な手口と防衛策
瀬戸島さんの悲劇的な体験は、決して特殊なケースではありません。誰もが同じような状況に陥る可能性があります このような詐欺に遭わないためには、以下のポイントに注意することが重要です。 「簡単に稼げる」という話には常に疑いの目を向ける。投資の基本知識を身につけ、リスクについて正しく理解する。金融商品を扱う業者が金融庁に登録されているかを必ず確認する。大きな決断をする前には、必ず家族や信頼できる人に相談する。全財産を一つの投資に集中させることは避け、リスク分散を心がける。退職金の運用方法については、専門家のアドバイスを受ける。SNSでの投資勧誘には特に注意を払う。このケースでは、口座の損益状況をリアルタイムで見ているかのように錯覚させ安心させるというのが、だましのテクニックのキモです。 しかし、それだけではなく詐欺師たちは行動経済学上の心理的効果やバイアスを巧みに利用して、下の図にまとめたような流れで信頼感を高めたりニセの取引にのめり込ませたりさせています。 こうした知識を身に付けておくことがなにより大切ですが、万が一被害に遭ってしまった場合は、すぐに以下の機関に相談しましょう。 警察、金融機関消費者ホットライン(188)国民生活センター金融庁(金融サービス利用者相談室)瀬戸島さんのケースは、私たちに重要な教訓を与えてくれます。人生の転機において、焦りや不安感、開放感から冷静さを失わないこと。そして、「簡単に稼げる」という甘い誘惑に惑わされないことの大切さを教えてくれています。瀬戸島さんの苦い経験を、私たちの未来を守るための貴重な教訓として活かしていきましょう。 青山 創星 ファイナンシャル・プランナー
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