ステーブルコインは10年で数兆ドルに拡大し、世界の金融システムに不可欠となる:米サークルCEO
USDコイン(USDC)とEURコイン(EURC)の運営企業サークルのCEO、ジェレミー・アライア氏はCoinDesk のインタビューで、デジタルマネーが世界の金融システムでより大きなシェアを獲得するにつれ、ステーブルコイン市場は10年で5~10兆ドル(約765~1530兆円、1ドル=153円換算)の市場に成長する可能性があると語った。 同氏は、ステーブルコイン(価値が米ドルやユーロなどの法定通貨に固定されているタイプの暗号資産)が、動画ストリーミングやオンラインショッピングといった、これまでのインターネットベースのイノベーションのように普及するにつれ、今後10年間で世界の通貨供給高100兆ドルの5~10%のシェアを獲得すると考えていると述べた。 「ステーブルコインの導入はまだ初期段階だが、今後10年、20年でこのテクノロジーは世界の金融システムの一部となるだろう」 ステーブルコインは暗号資産(仮想通貨)で最も人気のあるイノベーションのひとつで、法定通貨とブロックチェーンベースのデジタル資産を橋渡しし、取引を促進する。すべてのステーブルコインを合わせると、時価総額は約1700億ドル(約26兆円)にのぼる。ブロックチェーンのスピードと、ほとんど即時に決済が可能であることが組み合わさり、アルゼンチンやナイジェリアのように銀行システムがあまり盤石ではなく、法定通貨が急速に下落している発展途上国では特に、支払いや送金などの日常的な経済活動での使用が増えている。
USDコインの特徴
サークルのUSDコインは市場で2番目の時価総額を誇るステーブルコインで、6年前に米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)で取り扱いが開始されて以来、350億ドル(約5.4兆円)の規模に成長している。最大手のステーブルコイン、テザー(USDT)の時価総額は1200億ドル(約18兆円)。 市場の観測筋は、テザーの大きな成長の一因は、サークルが米国やEUのような規制の厳しい先進国市場に重点を置いているのに対し、テザーはドルへのアクセスが制限されている新興市場に重点を置いていることとしている。 しかしアライア氏は、ラテンアメリカや東南アジアなどの新興市場では、特に現地の企業や家計にサービスを提供するフィンテック企業の間でUSDコインの使用が大幅に増加すると見ていると述べた。 アライア氏によると、「格好良い例」のひとつは、国境を越えた支払いや両替を専門とする現地の外貨ブローカーが、中小企業間の取引の決済にUSDコインを活用していることだという。もうひとつの例は、サークルのあるパートナーがアライア氏に語った「中東のサプライヤーとアフリカのバイヤーの間で行われた1億ドル規模のエネルギー取引」がUSDコインによって行われたという話だ。 さらに支払い手段として、USDコインの採用が増えている別の例は、米国を拠点とするフィンテック企業ストライプ(Stripe)が今年10月に小売業者向けにUSDC取引を再導入したことだ。最初の24時間で、70カ国のユーザーがUSDコインの支払いオプションを選択したと、ストライプのプロダクトマネージャーであるジェニファー・リー(Jennifer Lee)氏はXに投稿した。 「毎週、USDコインを使用する新しい企業が登場」しており、こうした企業はサークルのプロダクトを開発したり使用するために「私たちと取引する必要さえない」とアレイア氏は語った。 「私たちが作り上げたものの魅力は、インターネット上のデジタルドルのためのオープンで公共のインフラであることだ」