UBS、シンセティックリスク移転検討-資本要件引き上げ政府案受け
(ブルームバーグ): スイスの銀行UBSグループは、同行の資本要件引き上げにつながるスイスの規制改革案を受け、信用リスクを市場に移転する取引を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
シンセティック(合成)リスクトランスファー(SRT)は重要な(significant)リスク移転とも呼ばれ、銀行は信用リスクを移転することで規制で求められる資本額を引き下げることができる。ローン損失に対する備えにもなる。通常、信用デリバティブを含む複数のローンにリンクした債券を発行することでこれを行う。
非公開の情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、UBSはSRTに使用する担保の種類を評価中で、昨年クレディ・スイスを買収した際に引き継いだプラットフォームの一つを利用して取引をまとめる可能性があるという。
SRT利用に関する協議は初期段階にあり、数カ月かかる可能性がある。他の選択肢も検討されているという。UBSの広報担当者はコメントを控えた。
スイス政府はスイスを本拠とするシステム上重要な銀行に対し、将来のリスクに備えるため、海外拠点に対する資本を大幅に増加させることを望んでいる。UBSはこの改革が実施された場合、約200億ドル(約3兆2000億円)に上る資本積み増しが必要になる可能性がある。
ペンバートン・アセット・マネジメントの試算によると、世界の銀行は昨年、250億ドル相当のSRTを発行し3000億ドルのローンのリスクの一部を移転した。SRTは資本増強のための減配、自社株買い中止、新株発行など、投資家にとってあまり好ましくない手段を回避するのに役立つ。JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴも現在、SRTを検討している。
SRTの中には2桁のリターンが期待できるものもあり、ブラックストーンやオークツリー・キャピタル・マネジメントなどの買い手が関心を寄せている。
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原題:UBS Weighs Synthetic Risk Transfer Amid Capital Boost Proposals(抜粋)
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Esteban Duarte, Carmen Arroyo, Myriam Balezou