勝訴の伊藤詩織さんが会見(全文1)2年間で報道のされ方が変わった
この裁判が性被害問題に与えた影響は?
江川:この裁判の影響としては。 西廣:そうですね、影響としては判決にも書かれてますけども、このように詩織さんが公にしたということが、広く社会で、判決書に書かれていたのが自らが体験した本件行為およびその後の経緯を明らかにし、広く社会で議論することが性犯罪の被害者を取り巻く法的または社会的状況の改善につながるとして公表したことが公共の利益に係る事実であって公益を図る目的であるというふうに認定を受けた、このことは性被害者にとって非常に勇気づける事実になるんじゃないかなと。私はやっと一歩、出ることができたかなというふうに感じています。 江川:それを受けて。 伊藤:今、西廣先生が読んでいただいた部分なんですけれども、やはり相手方からの反訴の内容は、やはり私が公でこの話をしているというところがかなりポイントがあったと思います。で、それに対しての謝罪広告も請求されていました。ただ、日本の法律ではそれが、話していることがいくら真実であっても罰せられることがあるので、私もこれがどういった結果になるのか、緊張しながら見ていたことの1つです。 そういった中でやはり読んでいただいたように、書いたことが広く社会で議論をすることが性犯罪被害者を取り巻く法的または社会的状況の改善につながるとして、公益を図る目的で表現されたものとしていただいたことはやはり私が著書の『Black Box』で書いたことの気持ちでもありましたし、と同時にやはり自分でしか書けなかったいろんなメディアがあった中、自分で発信するという道しかなかったっていうところで、いろんな思いで渡った橋だったんですけれども、そういったところでこういった評価を得られたことは大変、書き手としても大変勇気づけられることでした。
刑事で不起訴だったことをどう思うか
小川:フリーランスの小川です。今回の民事の、弁護士の先生にお伺いしたいんですけども、民事の判決と、民事の【*********00:10:14】証言も出てきたことについて、刑事は不起訴だったわけですけども、今から刑事が不起訴だったっていう判決について思われるところとか、刑事の【*********00:10:29】みたいなところについても、お言葉があれば。 西廣:不起訴だったことについては、当時の判断としては、今、振り返るとこういうふうに原告、被告の供述が出ているので裁判所はこのように判断してくださったということを、当時の判断として、せよというのはちょっと難しかったのかなというふうには感じてはいます。ただ、やっぱり加害者、被害者の証言を公の場で話して、じゃあどちらが正しいことを言っているんですかということができたということが、この裁判においては非常に意義があったかなと思いますし、それを踏まえた上で、ちょっと当時不起訴になったことを評価することはちょっとなかなか難しいかなというふうに思っています。 伊藤:私、個人的なことなんですけれども、やはり来年、刑法改正の見直しがされるチャンスがある中で、私も今回の結果を見て、じゃあこれが本当に不同意性交はレイプだという定義付けがほかの国がしているように、あったらどうなったんだろう。やっぱりそれを当てはめてみると、もちろんそれはもしもの話になってしまうんですけれども、このケースであってもすごくいろんな意味でハードルが低くなったのではないかなと思います。そういった面でやはり刑法改正の見直しをしっかりやっていただきたいなと思っています。