パナマ文書が公開された経緯とは? ICIJに参加した朝日・奥山氏に聞く
パナマ文書ではモサック・フォンセカ経由でオフショア法人の設立を行った企業や個人の情報が公開され、合法なルールの中でオフショア法人を設立した企業に対する風評被害を起こさないかという懸念を指摘する声もあるが、それに対して、奥山氏は今回の調査報道プロジェクトの趣旨を説明する。 「日本でも会社情報は基本的にネット上で検索が可能ですよね。有料ではあるものの、法務省の外郭団体のデータベースに行けば、役員の名前を全部ダウンロードできます。代表取締役については自宅住所も公開されています。それらと今回の公開(オフショア・リークス・データベースに法人やその株主の名前を掲載して公表したこと)は、株主や受益者が含まれているという点では異なりますが、基本的には会社の名前やその法人の背後にいる関係者が誰なのかを明らかにするものであるという点で似ています。(データベース上に公開された法人が)何か違法行為をやっているということを言おうとしているわけではありません。 署名を偽造されたといった話も取材の中では出てきていますが、全く心当たりがないケースというのはありませんでした。(名前を使われた人が)『この人に使われた』と心当たりのあるケースはあっても、全く無関係の人が名前を勝手に使われたというケースは取材の中では見当たりませんでした」 世界的に大きなニュースとなったパナマ文書。奥山氏はICIJが4月に行ったパナマ文書の公開が、日本でどれだけ大きなニュースになるのか、公開直後は測り知ることができなかったが、ネット上での動きを見て大きなニュースになると確信したのだという。 「人口33万のアイスランドの首相に疑惑があるとしても、それが日本で大きなニュースになるかどうかはよく分かりませんでした。(パナマ文書の公開前に)過去に朝日新聞の紙面にアイスランド首相の名前がどのように載っているか調べるため、記事データベースで検索をかけても、東京の紙面では1回しか記事になっていませんでしたから。記事が出た翌日の深夜に、アイスランド首相辞任のニュースが流れ、これについて、すごい勢いでツイートされているのを見て、これはただ事ではないなと感じました」