パナマ文書が公開された経緯とは? ICIJに参加した朝日・奥山氏に聞く
パナマ文書はあくまで「氷山の一角」
ICIJによってパナマ文書の内容が公にされたことにより、オフショア取引やタックスヘイブンの実態がより多くの人に知れ渡ることになったが、パナマ文書はあくまでもパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部資料による情報のみで、全てのタックスヘイブンの実態を明らかにしたものではない。奥山氏は語る。 「これは氷山の一角と言いますか、ほんの一端が明らかになったに過ぎないのだと思います。モサック・フォンセカは五本の指に入るとも言われていますが、何百とあるサービス・プロバイダー(タックスヘイブン法人の設立を扱う業者)の一つに過ぎないわけで、例えばケイマン諸島はここでは扱われていませんし、日本に支店やコネクションがあるというわけでもないですから、パナマ文書で見えたものが全体の縮図であるとは言えないと思います」 日本人や日本企業が頻繁に利用しているとされるケイマン諸島は、パナマ文書の中に見当たらない。英フィナンシャルタイムズは2日、オフショア取引に関する規制強化の動きが原因となって、2010年以降の世界のオフショア取引の中で英ヴァージン諸島やジブラルタルといったタックスヘイブンの利用が減少傾向にあると報道。同時に、ケイマン諸島やチャンネル諸島におけるオフショア取引は若干増加しているとも伝えている。 「3年前のオフショアリークスの時に、まさにオリンパスが使っていたファンドがあり、その時は少し記事にもしました。そのファンドはケイマンにありました。タックスヘイブンとして多くの日本人に利用されてきたのはケイマン諸島で、英ヴァージン諸島やパナマ文書に載っている他のタックスヘイブンよりも圧倒的に存在感が大きいので、(ケイマン諸島に関する情報が)なかったことが日本関連の情報が少なかった理由ではないでしょうか。3年前のオフショアリークスと比較して、今回は全体で10倍のデータ量がありますが、日本について言うと、3年前のオフショアリークスよりも若干少ないような印象を受けます」 情報量の多さでも話題を集めたパナマ文書だが、奥山氏によると、今回は「使える資料」が多かったのだという。 「3年前のオフショアリークスの際は、当事者のパスポートの写しなどもあまりなく、いい資料がそれほど多くはありませんでした。今回は基本的にパスポートのスキャン画像などがあるので、人の特定はしやすかったです」