「金融政策の変更もありえる」植田総裁、追加利上げを示唆するも…日銀、4月会合は「現状維持」を予想。追加利上げの実施時期は?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。
●基本的な政策の枠組みに変更はないとみるが、国債買い入れに関する声明の文言は焦点の1つ。 ●展望リポートの物価見通しは全体的に上向きか、植田総裁会見は利上げや円安の見解に注目。 ●声明は現状維持で利上げ時期の示唆はないと予想、利上げは10月実施の可能性が高いとみる。
基本的な政策の枠組みに変更はないとみるが、国債買い入れに関する声明の文言は焦点の1つ
日銀は4月25日、26日に金融政策決定会合を開催し、今回は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表します。そこで、以下、今会合の注目ポイントを整理します。まず、金融政策について、日銀は3月にマイナス金利の解除や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃などを決めたばかりであることから、基本的な枠組みに大きな変更はないとみています。 なお、長期国債の買い入れは、これまでとおおむね同程度の金額で継続する方針が3月会合の声明で示され、また、声明の注記に、足もとの月間買い入れ額は6兆円程度、買い入れ予定額は従来通りある程度の幅をもって示す、市場動向や国債需給などを踏まえて実施する旨が記されました。市場では現在、追加利上げに先立ち、国債買い入れの減額が行われるとの見方も浮上しており、これら文言の修正の有無も焦点の1つとなっています。
展望リポートの物価見通しは全体的に上向きか、植田総裁会見は利上げや円安の見解に注目
次に、展望リポートについて、今回は2026年度の経済・物価見通しが新たに示されます。複数の報道によると、2026年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)の上昇率見通しは、前年度比2%程度になる模様です。また、2024年度のコアCPIの上昇率見通しは、前回(1月時点、見通し中央値)の前年度比2.4%から引き上げられる可能性も報じられています。全体的に物価の見通しが上向きとなれば、緩和修正の余地は広がります。 そして、植田和男総裁の記者会見において、市場は追加利上げに関する手掛かりや、円安についての見解を探ることになると思われます。植田総裁は4月19日、米ワシントンで講演し、「基調的な物価の上昇が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高くなる」と述べ、また、前日18日の記者会見では、円安の進行で基調的な物価が上昇し、「無視できない大きさの影響になれば、金融政策の変更もありえる」と発言しています。
【関連記事】
- 「金融政策の変更もありえる」植田総裁、追加利上げを示唆するも…日銀、4月会合は「現状維持」を予想。追加利上げの実施時期は?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 元証券マンが告白「僕はこのやり方で負け続けました」…絶対にマネしてはいけない「4つの投資手法」
- 日経平均、一時「1,300円以上の急落」も…日本株が大幅安となった際に落ち着いて見極めるべきポイント【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- イスラエルが報復に踏み切れば「原油価格急騰」「日本株安」も…中東情勢の要点を整理する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 30~50代の5人に1人が「新NISAを始めました!」でも…「新NISAはやめておけ」といわれる7つの理由