低迷期にもファンへの感謝を忘れず 引退した「T-岡田」がオリックスに残した何よりの“功績”とは
最多動員となる3万6217人の大観衆
9月24日、T-岡田の引退試合は、実数発表となった2005年以降、球団主催の京セラドーム大阪での最多動員となる3万6217人の大観衆を集めた。 超満員のファンが見つめる中、7回には西武・今井達也の155キロ直球を右前へ運び、現役ラストとなる通算1193安打目をマーク。9回2死、あわや本塁打の大飛球はファウルとなり、現役最後の打席は三振に終わった。 それでも、最後の最後まで、背番号55の豪快なスイングがファンを沸かせた。 「めちゃめちゃ、幸せでした。ファンの方あってのプロ野球。こんなにも応援してもらって、本当に僕は幸せ者だなと、噛みしめて打席に向かっていました」 低迷期、リーグ3連覇、そして日本一。 苦しい時にも、歓喜の時にも、オリックスにはT-岡田はいた。浪速のファンにこよなく愛された男の“特別な3本”、そして彼が球団に残した功績を、私も忘れない。 *** この記事の前編では、T-岡田の「印象に残るホームラン3本」のうち、特に球場を沸かせた1本や、T-岡田の「命名秘話」。早くからその才能に気付いていた「外国人選手」の存在など、知られざるエピソードを取り上げている。
喜瀬雅則(きせ・まさのり) 1967年、神戸市生まれ。スポーツライター。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当として阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の各担当を歴任。産経夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。産経新聞社退社後の2017年8月からは、業務委託契約を結ぶ西日本新聞社を中心にプロ野球界の取材を続けている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)、「不登校からメジャーへ」(光文社新書)、「稼ぐ! プロ野球」(PHPビジネス新書)、「ホークス3軍はなぜ成功したのか」、「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」、「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」、「中日ドラゴンズが優勝できなくても愛される理由」(以上いずれも光文社新書) デイリー新潮編集部
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