パーキープ率94%で2年ぶりVの石川遼が明かす ボギーを打たない“考え方”と58度のピッチエンドランの重要性
国内男子ツアーの「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」で、2年ぶりにツアー通算19勝目を挙げた石川遼。優勝に貢献した要素の一つがショートゲームという。ALBA TVの「アトムが行く! アプローチ修行の旅」に石川が出演した際に、アプローチの考え方や練習方法などを語っている。かつてはアグレッシブに攻めて、難しいアプローチが残ってもスーパーショットで寄せるイメージがあったが、ボギーを打たないために深く考えていることを明かしていた。 【神動画】石川遼がすべてをさらけ出す ボギーを打たない考え方や”頼りになる”アプローチとは? 優勝した大会4日間のパーオン率は75パーセントで出場選手中32位タイだったが、ボギー以上はわずかに4つ。パーキープ率94.444パーセントで出場選手中4位タイ。パーオンを逃してもボギーをたたく回数が少なかったことを証明している。イーグルを含むバーディ数は24個で4位タイ。大会2位の金子駆大、カッピーこと河野祐輝、蝉川泰果の25個に及ばなかったが、ボギー以上の数の少なさが優勝につながった。 ALBA TVの番組「アトムが行く! アプローチ修行の旅」はツアー通算1勝でアプローチが“苦手”な重永亜斗夢がMCとなり、ショートゲームの名手に極意を教わるというもの。重永が石川のアプローチをする際の基本的な考え方などについて深掘りした。 まず基本の練習方法を聞く。「試合で一番頼りになるところ。俗にいう超簡単なアプローチ」として、58度のウェッジを使って花道20ヤードほどの距離をピッチエンドランの距離感をしっかりつかむ。常にカップの1~2メートル以内に寄せられるようにする。 58度の距離感について石川は、「ベースになるのはロングパット。ロングパットと同じ精度で寄せられるようにする」のがポイントだという。その理由について、アプローチよりも「ロングパットの方が簡単」と持論を展開する。 「なぜかというとボールコンタクトがパターの方が楽なので。アイアン(ウェッジ)になった瞬間、『ちゃんと当たるのか』問題が出てくる」と説明する。グリーンを外してアプローチをしないといけない状況で「(アプローチは)気を使うので、アプローチをするなら簡単なアプローチを残したい」とも付け加えた。 つまり2打目などグリーンを狙うショットの時からその計算は始まる。「パーオンさせることが一番の優先条件?」と重永が質問をすると、「優先順位としてはまずグリーン(オン)」と返す。パーオンをしてグリーンからパットをする方が、基本的にはもっともボギーになる確率が低くなる計算だ。 ただ、プロといえども毎回いいショットが打てるわけはないし、ミスもする。また、番手間の距離が残ってコントロールも求められる。そういった状況では、グリーンを外した時のことを考える。 グリーンを外してもいい優先順位を挙げる。まずは基本練習で行っているピッチエンドランを打てる「簡単なアプローチ」の状況。「試合で一番頼るになる」と話していたとおり、パーセーブ率が高くなる。そして「バンカー」、最後に「ロブしないといけないラフ」と外してもいい順番を決めていると答えた。 さらに解説は続く。「例えば、2段グリーンで段の上にピンが切ってある状況で、アイアンの間の距離が残ったら、それがミドルアイアンだとけっこう難しい状況。その時に、(ピンと)同じ面に乗せようとして奥にこぼれるか、割り切って下の段でもいいと思うか。僕は下の段でも仕方ないと思って打ちます」。 前者は同じ面に止まればバーディチャンスになるが、グリーンの奥に外しとしたらロブしないといけないラフに行くかもしれないのでボギーの確率が上がる。それよりも、段の下からロングパットをした方が次の1打では寄せやすくなるという考えだ。 万が一、奥にこぼれて左足下がりのラフに行った場合については、実演して見せる。「ある意味、寄らないって思って打てるからラク。ここに外した時点で負けというか、何をやっているんだってことになる」と必死に寄せることを考えずに、ボギーでもいいという気持ちになる。 そういう場面にいった場合の対処法も明かす。ここでは左足下がりのラフでグリーンは花道方向に向かって下っている。「寄せようと思って、ボールの下を抜けてグリーンエッジ(下りが残る)に止まるのが一番よくない」と。 「まず確実にグリーンに乗せたい。保険をかけて3メートルオーバーでいいと考えて、最初からピンの奥(花道側)を狙って、逆に思い切ってやるしかない。欲を出したくないんです」と、まずダブルボギーの可能性を無くし、ボギー覚悟で、パッティングがうまくいけばパーセーブできる状況を作るという。 グリーンを狙うときに、ピン位置を確認して、グリーンを外したときにどこから寄せやすいか、どこが難しいかを見極める。そして使用する番手や球筋、出そうなミスを想定して狙いを定めるという考えだ。すべてのショットをピンに狙うことはない。グリーンを外しても簡単なアプローチが残れば、ボギーを打たないで済む。こうした考えが元になっているようだ。
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