原子力分野で働く女性の割合、日本は断トツの最下位! 「女の命は短い」「3年は居ろ、5年は居るな」と言われた女性研究者
NEAは原子力分野の問題として、緊急時対応やシフト勤務の厳しさ、女性リーダーの不足、原子力の仕事は男性がするものだという社会通念などを指摘している。 ▽最近は改善傾向も 今回のNEAの日本のデータは公的機関の職員だが、原子力分野で女性は非常に少ない傾向がある。 日本原子力産業協会で情報・コミュニケーション部長を務める石橋すおみさんは「原子力の仕事をしていると、孤独感を感じることは少なからずある。何十人もいる部門で女性は自分一人ということが長くあった」と話す。 男女共同参画学協会連絡会によると、2021年に連絡会に加盟する国内の各学会の女性割合は平均14%だが、日本原子力学会は5%だった。 ただ、最近は改善の傾向がうかがえるという。原子力規制庁は今年、40人の新入職員を採用し、そのうち女性は45%を占めた。 日本原子力産業協会が昨年10月に東京と大阪で開いた合同企業説明会に参加した学生は計473人で、女性は24%だった。
NEAの調査によると、日本の2021年の新入職員に占める女性の割合は27%で、加盟国の平均29%にあと一歩というところまで近づいた。 ▽女性の能力使わないのはもったいない 岡田さんは、原子力分野に女性が増えると、原子力の安全性が向上することにもつながるのではないかと考えている。 1989年、岡田さんが勤める東京都市大原子力研究所で、研究用原子炉の冷却水漏れ事故が発生した。アルミ製の原子炉容器底部に水蒸気が付き、腐食で小さな穴が開いたことが原因だったが、最初に水漏れに気付いたのは運転員の女性だったという。その女性は『なんか変だ、なんか変だ』と数値に出てこない変化に気がついた。男性は数値に表れないと扱わないでしょ。女性の安全に対する意識は高いと思います」 岡田さんは「いろいろな物の見方や意見を言い合える環境、つまり多様性があると原子力は安全な方向に進んでいく。女性の能力を使わないのはもったいない」と強調した。