JR東日本「上野東京ライン」で変わる2015年首都圏輸送ネットワーク
昨年12月19日、今年の3月14日に行われるダイヤ改正の詳細が発表された。鉄道ファンの多くは、寝台特急「北斗星」の臨時化をなげく一方、北陸新幹線の開業を喜んでいる。また、現存する唯一の急行「はまなす」は「運休や時刻変更はある。廃止などの具体的なことは決まっていない」(JR北海道)というものの、近い将来の北海道新幹線の開業や車両の老朽化に伴い廃止される可能性も決して低いとはいえない。悲喜こもごもあったダイヤ改正の発表だったが、特にJR東日本の「上野東京ライン」が完成することで、首都圏の通勤・通学シーンが大きく変わるかもしれない。
3月14日、上野東京ラインが開業
「上野東京ライン」は2015年3月14日に開業する。すでに「湘南新宿ライン」により東北・高崎線方面と東海道・横須賀線系統が結ばれているものの、始発駅=ターミナル駅としての上野駅・東京駅の存在感は大きく、いまなお多くの近郊電車はこれらの駅を始発駅としている。 しかし、上野東京ラインの開業により、この両駅が、通過駅となるのだ。東北・高崎線と東海道線が相互直通運転を開始し、常磐線は品川駅まで直通運転が実施される。それに伴い、これらの沿線に暮らし東京駅や品川駅周辺のオフィスに通勤する人は、乗りかえる必要がなくなる。また、常磐線特急「ひたち」と新設される「ときわ」(国鉄時代の急行列車の名前でもあった)は品川駅に乗り入れる。 JR東日本は上野東京ラインについて次のように言う。「現在、宇都宮線・高崎線・常磐線は上野駅が終点となっていますが、神田駅付近の東北新幹線を重層化し東京~上野間に新たに線路を敷設することにより、宇都宮線・高崎線・常磐線と東海道線を直通運転することが可能となります」。 では、どのような効果期待できると同社は見ているのか? 「朝通勤時間帯の混雑率が高い京浜東北線・山手線上野~御徒町間における混雑率の緩和です。現在は、京浜東北線・山手線上野~御徒町間の混雑率は朝通勤時間帯で約200%ですが、これが180%以下に緩和される見通しです。また直通運転により上野駅や東京駅での乗換が不要となり、首都圏輸送ネットワークがさらに強化されることで、相互の交流を促進し、地域の活性化に寄与できると考えております」と同社広報。 上野~東京間を京浜東北線や山手線で移動する際、新幹線の上をまたぐ大きな線路が見える。それは「東北縦貫線」と呼ばれ、この上野東京ラインのキモとなっている部分である。この東北縦貫線は、地元の神田周辺では反対運動が大きかった。その意味では地元のためにはなっていない。しかし、首都圏の鉄道ネットワークのためには、必要なものであっただろう。上野東京ラインは、混雑率の緩和だけではなく、首都圏の鉄道ネットワークのために必要となる。