JR東日本「上野東京ライン」で変わる2015年首都圏輸送ネットワーク
列車の遅延に対処できるか?
一方、巨大ネットワークが成立するとなると、「人身事故」や車両故障その他に伴う「列車の遅延」の影響が大きくなってくる。日本国内では、すでにJR西日本が「アーバンネットワーク」と呼ばれる巨大なネットワークを作り上げている。とくに東海道・山陽本線を中心とする「新快速」は、福井県の敦賀から兵庫県の播州赤穂までという長距離の運行となっている。 関西は「私鉄王国」と呼ばれており、私鉄各社とJR西日本との競争は激しく、スピードアップや利便性向上への意識は高まる。また直通運転の拡大は、ダイヤの乱れの影響を広範囲に与えてしまう。JR西日本では、「アーバンネットワーク運行管理システム」(SUNTRAS)を導入し、ダイヤの乱れの復旧が素早くできるようにしている。 JR東日本で上野東京ラインが開業し、湘南新宿ラインと合わせて巨大ネットワークが完成すると、関東圏でも関西圏と同じような課題に直面する。これに関してJR東日本は、「これまで同様、また他の線区と同じように、お客さまの利便性を極力損なわないよう安全安定輸送を目指した対応をさせて頂きます」と語っている。 JR東日本には、「東京圏輸送管理システム」(ATOS)が導入されており、列車の遅延の際に一つの拠点で一括して情報を管理できるものの、情報の集中が運転障害の際の混乱の一因と指摘されることもある。巨大なネットワークを円滑に運用するために、遅延などのデータをフィードバックし、改善に努めよりよい列車の運行をすることが、JR東日本には求められていると言えるだろう。 (ライター・小林拓矢)