「令和の熊野詣」ゴール 京都から那智へ延べ千人、世界遺産登録20周年
和歌山県が世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念事業として取り組んでいた「令和の熊野詣(くまのもうで)」リレーウオークが15日、那智勝浦町那智山にある那智の滝にゴールして終了した。昨年12月に京都で出立式を開いてから、熊野古道の紀伊路と中辺路で計13回のウオークイベントを開催し、延べ約千人が参加。長旅を終えた参加者は「貴重な体験ができた」と笑顔を見せた。 【中辺路ウオーク開始 「令和の熊野詣」ゴールは那智の滝、和歌山の記事はこちら】 「令和の熊野詣」は往時の熊野詣でを令和の世に再現しようと企画した。昨年12月、歴代上皇らによって盛んに行われた「熊野御幸」の際、身を清めて道中の無事を祈願した出立式を、岸本周平知事らが参加して京都市の城南宮で開催。その後、語り部の案内で熊野古道紀伊路を大阪市からみなべ町まで歩く全8回(約80キロ)のリレーウオークを開き、出立式も含めて延べ683人が参加した。 今年10月からは那智の滝を目指して、熊野古道中辺路のリレーウオークもスタート。約65キロを5回に分けて歩き、延べ354人が参加した。 最終回は那智勝浦町のJR那智駅に集合後、近くにある補陀洛山寺を参拝。熊野古道「大門坂」などを歩いて熊野那智大社で正式参拝したり、那智山青岸渡寺の行者堂で護摩法要に参列したりし、午後4時過ぎ、那智の滝にたどり着いた。 紀伊路と中辺路のリレーウオーク全てに参加した人は5人おり、うち3人が出立式からの「皆勤」となった。その一人、和歌山市の西端孝智さん(63)は「一人で紀伊路と中辺路を歩いた経験はあったが、今回はお話を聞きながらなので勉強になったし、熊野三山などで特別な体験もでき、本当に楽しかった」と話した。 県観光振興課の林正尚課長(53)は「キャンセル待ちの方もいらっしゃって大好評だった。20周年の目玉事業として、単なるイベントではなく、熊野御幸や熊野詣での持つ意味を伝えたいと取り組んだ。熊野の魅力を体感いただけたと思うし、これを機にいろんな人を誘ってまた歩きに来てほしい」と話していた。
紀伊民報