【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第12ステージ】勝利のドラマはいつだってエモーショナル。“想定外”の大逃げからステージ優勝のアラフィリップ「一生忘れられない日になりそうだ!」
「勝利を確信したのは最後の500m。情熱と勇気をもって走った結果がこれだよ。僕はただただ純粋にサイクリングをするのが大好きなんだ。余計なことは考えず、思いのままに走る。今日はそれができた。最高のレースだった」(アラフィリップ)
2020年と2021年にはロード世界選手権を制し、プロトンの頂点に君臨した男である。2019年にはツール・ド・フランスで衝撃的な“マイヨ・ジョーヌ・マジック”もあった。いくつものビッグタイトルを手にし、そのキャリアは文句のつけようがない。
ただ何より、「うまくいくとき」と「うまくいかないとき」の波が激しすぎる。近年は後者。たびたび怪我に見舞われ、体調を崩すことも少なくなかった。それはチーム内の序列変化にも表れ、チームオーナーのパトリック・ルフェヴェル氏との確執までささやかれるようになった。実際に今年のシーズンイン時には、「パーティーへの出席が多く、アルコールを口にしていることが多すぎるのではないか」とルフェヴェル氏が公の場で批判する事態まで起こった。
それでも、アラフィリップはブレなかった。
「確かに苦しい時期が長かった。いろいろ言われたりもしたけど、僕から反応することはなかった。静かに、トップレベルに戻るために努力し続ける…やるべきことはそれだけだった。キャリアの下降線? 確かにそうかもしれない。それだってキャリアの一部さ。すべてを受け入れながら走り続けることが大事なんだ」(アラフィリップ)
フィニッシュ後には他の選手たちが次々と彼のもとへと進み、勝利を祝福。観る者だけでなくプロトン内でも愛される男は、同様に自分の前にやってきたマエストリに「一緒に逃げてくれてありがとう」と礼を述べた。強く、心優しき男の姿がついにトップシーンに戻ってきた。完全復活かを問われ、答えに窮しながらも「こういう日が訪れるから走ることはやめられない」と一言。31歳、まだまだ老け込むつもりがないことは確かだ。
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