【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第12ステージ】勝利のドラマはいつだってエモーショナル。“想定外”の大逃げからステージ優勝のアラフィリップ「一生忘れられない日になりそうだ!」
登坂で力の差が明白になる両者だが、立て続けに出てくる4級山岳ポイントをマエストリに譲りながら、アラフィリップは逃げの態勢を崩さないよう努める。追走には第1ステージで勝っているジョナタン・ナルバエス(イネオス・グレナディアーズ)や、第5ステージで逃げ勝ったバンジャマン・トマ(コフィディス)らが控えている。それでも、勢いは先頭の2人が勝っていた。いつしかタイム差は1分40秒を超え、追走メンバーから散発的にアタックが出始めるなど焦りが見え始める。
やがて追走グループは2つに割れ、前に入った7人が引き続きアラフィリップとマエストリを目指す。後ろに残されたメンバーはやがて追うのをあきらめ、メイン集団の前待ちに切り替え。フィニッシュまで25kmを切った時点で、先頭2人と追走グループとの差は1分5秒。メイン集団はさらに4分後ろとあり、前方2つのパックからステージ優勝者が出るのは濃厚な情勢となった。
100kmを超えた2人の逃げが終わりを迎えたのは、この日の最終登坂モンテ・ジオーヴェだった。山岳にカテゴライズされないものの、最大勾配20%を数える急坂でついにアラフィリップがマエストリを切り離した。逃げている間から脚の差ははっきりとしていたが、ひとりになるのは早いと我慢し続けてきた。フィニッシュまでは残り11.5km。抑えてきた心と体を解放するときがやってきた。
「正直言うと、後ろとのタイム差がずっと気になっていた。特にナルバエスの存在は脅威だった。だけど勝つために最善を尽くしてきたし、もう行くしかなかった」(アラフィリップ)
追走グループではナルバエスとクインテン・ヘルマンス(アルペシン・ドゥクーニンク)が急坂区間で仕掛けたが、最終盤の下りと平坦でさらに勢いづいたアラフィリップとの差は約30秒とするのが精いっぱい。長時間の逃げを成功させたアラフィリップは、一番にフィニッシュ地・ファーノの街へ到達し、栄えのウイニングライドを決めた。
【関連記事】
- 【速報 ジロ・デ・イタリア2024】残り距離126kmでアタックしたアラフィリップ、109人目の三大ツール区間制覇/第12ステージ
- 【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第11ステージ】ジョナサン・ミランがスプリントで今大会2勝目 平均時速47.171kmの高速レースを制し「チームメートの力があってこその僕の勝利」
- 【速報 ジロ・デ・イタリア2024】ミランがマリア・チクラミーノで区間優勝/第11ステージ
- 【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第10ステージ】パレパントル兄弟が絶妙コンビネーション 弟・ヴァランタンがプロ初勝利、勝ってみて思う「今まで何で勝てなかったのだろう?」
- 【速報 ジロ・デ・イタリア2024】ヴァランタン・パレパントルが嬉しいプロ初勝利/第10ステージ