【大阪IR】液状化対策の工事めぐる住民監査請求 一部は「棄却」で一部は「合議不調」 市に対しては事業プロセスを透明化するよう“付言”も
大阪・夢洲のIR用地で行われている液状化対策工事をめぐり、市民団体が行った住民監査請求について、市の監査委員は請求を一部退け、一部は合議不調と結論づけました。一方で、市に対し、事業プロセスを透明化し市民に対して丁寧な説明を尽くすよう“釘を刺す”指摘もしました。 大阪・夢洲で2030年秋の開業を目指すIR=カジノを含む統合型リゾートをめぐっては、去年12月から、民間事業者・大阪IRが工事業者を選んで、土地の液状化対策工事を進めています。市はこの工事について「公共工事に準ずる」と位置づけ、公金から788億円を支出することを決めています。 これに対し市民団体は、(1)工事期間中に事業者が無償で大阪市の土地を使える契約を結んでいることで、市は賃料収入を得られず、財政に損失をもたらしたと主張。また、(2)液状化対策工事の業者を、入札ではなく随意契約で決めたのは不当などとして、今年6月に住民監査請求を行っていました。
市の監査委員会は8日付けで、(1)の無償で土地を使える契約を市と事業者が結んでいる点に関して、「事業者は市の事業の担い手として工事を行うにすぎず、事業者が収益を得るために行うものではない」として請求を棄却しました。 一方、(2)の入札を経ずに随意契約で工事業者を決めた点については、「液状化対策工事は実質的に大阪市の公共工事であり、工事業者の選定では、公共工事に求められる公平性、競争性を十分確保すべき」とする見解と、「工事はあくまで民間事業者である大阪IRが発注者なので、自らの判断と責任で選定しても何ら違法性、不当性は認められない」とする見解で意見が割れたため、「合議不調」と結論付けました。
監査請求を検討する中で、市側は監査委員に対し、大阪IRが選定した工事業者が液状化対策工事を進めていることについて、IRの建設工事と液状化対策工事を一貫して行うことで、現場の安全管理や責任が一元化され、IR事業の推進にとって利点があると説明しているということです。 この点について監査委員会は、2つの工事を一貫して続けるのであれば、液状化対策工事を「公共事業に準ずる」と位置づけた以上、事業を進めるうえでのプロセスを透明化し、市民に対して丁寧な説明を尽くすよう留意してほしいと指摘しました。