ガストもサイゼもジョイフルも、国内店舗数はジワジワと減少中ファミレスがもはや「時代遅れ」になってきている“深い理由”とは?
「渋谷モディ」は、その良い立地からは考えられないほど空いていることでおなじみだが、4階の奥にあるスタバだけが混んでいる。席数119もある、大型店であるにもかかわらずだ。 このような、「カフェの勃興」「カフェブーム」を感じるたびに、筆者は思うのだ。こうしたチェーン系カフェが増えてくるのに伴って、ファミレスで「だらだら」していた人々が、カフェに移っていったのではないか、と。『THE3名様』の舞台は深夜のファミレスだったが、現代の若者が「だらだら」とおしゃべりするのは、チェーンのカフェになってきているのではないかと。
■「ファミレス文学」はどこに行くのか コメダ珈琲店は、店内全体を木目調にして、どこか落ち着く雰囲気を演出している。これは、コメダ発祥の名古屋の喫茶店をモチーフにしているというが、こうした演出が「ずっといたい」「落ち着く」といった気持ちを消費者に抱かせている側面もあるだろう。 また、スタバも、全体的にゆったりとした店内空間の演出をしている。それに加えて、スタバの場合は、どこか「スタバにいそうな人々」が、そこに集まっているということもあって、ある種の同族意識を、そこにやってきた人に抱かせる。それが、その場にいる人たちの心理的な安全性を作るのかもしれない。
【画像】時代に合わなくなっていくファミレス…何に変わる? (13枚) いずれにしても、こうしたカフェ空間の「だらだらいられる感じ」は、もしかすると現在のファミレスにはなくなってしまったものなのかもしれない。 『花束みたいな恋をした』が「ファミレス文学」だとすれば、今後は「チェーンカフェ文学」なるものが誕生するかもしれない。「だらだらできる場所」という側面から、ビジネスの隆盛を見ることが可能なのではないかと、筆者は考えているのだ。
谷頭 和希 :チェーンストア研究家・ライター