メタ、増収増益4Q連続も株価下落 AI投資に懸念
米メタが2024年4月24日に発表した2024年1~3月期決算は、売上高が前年同期比27%増の364億5500万ドル(約5兆6600億円)で、5四半期連続の増収となった。増収率は2021年10~12月期以降で最大。1~3月期として過去最高の売上高を達成した。全体の98%を占めるインターネット広告事業が好調だった。 純利益は前年同期比2.2倍の123億6900万ドル(約1兆9200億円)で、4四半期連続の増益だった。ただし、投資家らは人工知能(AI)関連のコスト上昇予測に懸念を示した。これを受け、4月24日の米株式市場でメタの株価は一時15%以上下落した。 ■ インターネット広告27%増収、利用者数8%増加 インターネット広告事業の売上高は356億3500万ドル(約5兆5300億円)となり、前年同期から27%増加した。SNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」や写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」など、グループ全体のサービスの24年3月における日間アクティブ利用者数は32億4000万人で、前年同月から7%増えた。 事業部門別売上高は、ネット広告とアプリ関連サービスを合わせた「Family of Apps(ファミリー・オブ・アプス)」が前年同期比27%増の360億1500万ドル(約5兆5900億円)。 同社が次世代コンピューター基盤と位置付けるメタバース関連事業「Reality Labs(リアリティー・ラボ)」は4億4000万ドル(約683億円)で30%増加した。ただし、同事業の営業損失は38億4600万ドル(約5971億円)だった。
■ 広告売上高、世界全地域で2桁成長 世界の地域別ネット広告売上高は、前四半期に続きすべての地域で2桁成長を達成した。米国・カナダは前年同期比22%増の154億5100万ドル(約2兆4000億円)。 欧州は33%増の83億2700万ドル(約1兆2900億円)、アジア太平洋地域は25%増の73億3800万ドル(約1兆1400億円)だった。アフリカなどその他の地域は40%増の45億1900万ドル(約7000億円)だった。 ■ ザッカーバーグCEO「AI投資を強調」 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、メタのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は声明で、同社が品質と利用の両面で世界をリードするAIサービスの構築を目指していると説明した。 メタも他のIT(情報技術)大手同様にAI開発に力を入れている。24年4月18日には、生成AIの基盤技術である大規模言語モデル(LLM)の新版「Llama 3」を発表した。これを大手クラウドサービスで利用できるようにするほか、Llama 3を基盤とするAIアシスタント「Meta AI」の提供も始めた。FacebookやInstagramなどで使えるようにし、自社サービスの利用増につなげる考えだ。 一方で、24年4~6月期の売上高は、365億~390億ドルの範囲になるとの見通しを示した。これはアナリスト予想の383億ドルを下回った。メタは24年通期の設備投資額を従来想定の300億~370億ドルから350億~400億ドルに引き上げることも明らかにした。設備投資額は25年も増えるとした。これによりAI開発を強化する。だがこうした同社のAI投資に投資家らは懐疑的だとWSJは報じている。
小久保 重信