「まさか我々が半導体に関われるとは」 創業100年の”しっくい”メーカーに白羽の矢 無縁だった業界に商機 TSMC熊本進出で企業に広がる
このプレス機で、年間約100億円の売り上げを期待している。 ■高田工業所 技術いかし「超音波カッティング装置」 「ものづくりの街」と知られる福岡県北九州市では、様々な企業が半導体産業への参入に向け動き出している。 八幡西区の「高田工業所」。1940年創業のこの会社は、製鉄や化学など産業設備の設計や製造、建設、メンテナンスに携わってきた。 長年培ってきた製造技術を生かし新たな収益の柱を目指し、2011年に新部署を立ち上げた。半導体を作るために使われる装置の製造を受け持つ。 高田工業所仲村公孝取締役(装置事業部担当)「これは高速で高精度に切る機械になります」 そのひとつが、回路を書き込んだ半導体ウエハーを細かいチップに切断する超音波カッティング装置。回転するブレードに、1秒間に4万回という上下の振動を与えて切断していく。 硬い材料でも切断面がきれいに仕上がり、その後の磨きの工程を大幅に減らせるのが、高田工業所の超音波カッティング装置の特徴だ。 最も薄いものは、約40ミクロン。髪の毛1本の半分ぐらいの幅だ。 また、超音波を使って切断し断面を調べる装置や半導体ウエハーを1枚ずつ洗浄し、乾燥させる装置も用意した。 ■TSMC工場の近くに営業拠点 高田工業所では、半導体製造装置の営業を強化するため今年11月、熊本県菊陽町のTSMC工場の近くに営業拠点を開設する予定だ。 高田工業所仲村公孝取締役(装置事業部担当)「多岐にわたってそれだけのニーズがあるので非常にビジネスチャンスだと思っています。少なくとも、今の半導体事業の売り上げを4倍~5倍にまで、できるだけ早い時期に成長させていきたいと思っています」 ■経済波及効果は10年で20兆円 一見、半導体産業とは無縁と思われる業界にも広がる、半導体バブルへの期待。 九州経済調査協会の試算によると、2030年までの10年間で、半導体に関する設備投資による九州・沖縄・山口エリアへの経済波及効果は、20兆円に上る。
RKB毎日放送