中国、5%前後の成長目標を擁護-人民銀総裁は流動性拡大を示唆
(ブルームバーグ): 中国の経済運営を担う閣僚や中央銀行のトップが6日、合同記者会見を開き、政府が掲げる5%前後という2024年の経済成長率目標を擁護するとともに、流動性を拡大する可能性を示唆した。
北京で5日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で李強首相が行った政府活動報告で示された今年の成長率目標には、その達成に懐疑的な見方も浮上していた。
中国人民銀行(中銀)の潘功勝総裁は市中銀行の預金準備率を引き下げる余地が残されていると指摘。国家発展改革委員会(発改委)の鄭柵潔主任は、成長率目標は「積極的な努力によって達成できる前向きな目標」だと述べ、成長見通し達成に自信を示した。
6日の記者会見には藍仏安財政相や王文濤商務相、証券監督管理委員会(証監会)の呉清主席も参加した。
記者会見は、習近平国家主席が大規模な景気刺激策なしに、より厳しい状況下で、昨年と同じ景気拡大をどのように実現するのか、詳しい説明を聞きたい投資家が注目。ブルームバーグが市場関係者を対象にした調査では24年の中国成長率は4.6%と見込まれている。
潘総裁のハト派的な発言は、人民銀による追加緩和への期待をあおったもようで、中国国債相場は一段高となり、10年債利回りは20年ぶりの低水準まで低下。
ブルームバーグが先月実施したエコノミスト調査では、2月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げられた預金準備率が7-9月(第3四半期)にさらに25bp引き下げられると予測されていた。
物価の緩やかな回復を促進することは、人民銀の政策決定にとって考慮すべき重要事項だと潘氏は指摘。同氏は中銀には十分な金融政策の余地と十分な手段があると繰り返した。最近のドル安傾向にも触れ、中国からの資本流出を招かずに金融緩和が可能だと話した。預金準備率の引き下げ時期には言及しなかった。
UBSグループのアジア経済調査責任者、汪涛氏は、中国指導部のアプローチを「現実的」としながらも、「5%目標を達成するために必要なことは何でもするというわけではない」との見方を示した。「システムや経済の安定が脅かされるようなことがあれば、行動を起こすだろう。目的はマクロの安定と構造転換の促進だ」と述べた。