パリ五輪まであと5カ月―「グローバル化」で復活を期す日本の団体球技
競技環境の「好循環」生む取り組みを
ようやく上昇気流に乗り始めた日本の団体球技だが、将来的には不安も拭えない。少子化の影響を受けて、国内の競技人口が急速に減少しているからだ。 スポーツ庁が2019年3月に行った「中体連・高体連・高野連に加盟する生徒数等試算」によると、将来的な人口推計結果から、運動部活動に携わる生徒の数は、ピーク時の09年に比べ、48年には約30%減少。球技などのチームスポーツでは半減以上となる競技も出てくるという。 団体球技では部員が減るとチームを編成できなくなる。このため、個人競技よりも部活動の消滅が加速する恐れがある。23年度からは公立中学校の部活動を地域クラブへ移行する取り組みが始まったが、指導者不足などから模索が続く。今後、中高生の環境整備は日本スポーツ界の大きな課題だ。 底辺層から優秀な選手が育ち、国内の競争を経て、国際的なレベルに挑戦する。そして、世界の舞台での活躍が競技の普及につながる。団体球技の復活を確実なものにするには、そんな好循環を生む中長期的な取り組みが欠かせない。
【Profile】
滝口 隆司 TAKIGUCHI Takashi 毎日新聞論説委員(スポーツ担当)。1967年大阪府生まれ。90年に入社し、運動部記者として、4度の五輪取材を経験したほか、野球、サッカー、ラグビー、大相撲なども担当した。運動部編集委員、水戸支局長、大阪本社運動部長を経て現職。新聞での長期連載「五輪の哲人 大島鎌吉物語」で2014年度のミズノスポーツライター賞優秀賞。2021年秋より立教大学兼任講師として「スポーツとメディア」の講義を担当。著書に『情報爆発時代のスポーツメディア―報道の歴史から解く未来像』『スポーツ報道論 新聞記者が問うメディアの視点』(ともに創文企画)がある。