イチローの東京開幕戦後はどうなる?
28歳のハニガーは昨年、初のフルシーズンでオールスターに選ばれるなど、ブレーク。レイズからトレードで獲得した25歳のスミスも昨年が初のフルシーズンだったが、打率.296、出塁率.367、40盗塁をマークした。ブルワーズから移籍してきた26歳のサンタナは昨季、ロレンゾ・ケイン、クリスチャン・イエリッチの加入でレギュラーの座を追われたものの、2017年に30本塁打をマークしている。 若い彼らは、数年後にチームのコアとなることも期待されており、たとえ開幕から不振でも、よほどのことがない限り、外されることはないのではないか。 ただ、4番手ーー控え外野手に関しては、流動的である。 現時点では、大リーグ通算286本塁打、3度のオールスター出場を誇るジェイ・ブルースが、一塁と指名打者を兼ねることになっている。しかし、そのブルースはトレード候補。そもそも一塁/指名打者には、過去2年で49本塁打を打ったリオン・ヒーリー、過去7年、連続で30本塁打以上をマークしているエドウィン・エンカナシオンもいて、混み合っている。 エンカナシオンもまたトレード候補であり、2人の動き次第では控え外野手のポジションが空く。仮にどちらかがアメリカでの開幕戦までにトレードされれば、イチローは第4の外野手として25人枠に入ってもおかしくない。今のところ他に第4の外野手候補は見当たらない。 もちろん、彼らがトレードされなければ、イチローの立場は厳しくなるが、トレードされる可能性の方が高いからこそ、イチローという選択肢を残しておく、という捉え方も出来る。 そもそもマリナーズがブルースらを必要としたわけではない。ロビンソン・カノら高額年俸の選手をトレードする過程で、彼らというより、彼らの契約を引き受けざるを得なかったのである。彼らの年俸負担を考えれば、トレードは容易ではないものの、キャンプ、オープン戦が始まれば、どこかのチームに一塁/指名打者にけが人が出る。そこでどう話をまとめるか。 こうして俯瞰してみると、イチローとのメジャー契約は東京での2試合限定、という見方もあるが、どう転ぶかは少なくとも3月に入らなければ何も見えてこないのではないか。 チームの解体にしても、まだ終わったわけではない。あわよくば、カイル・シーガーとディー・ゴードンも放出しようと、考えているのである。シーガーと残る5600万ドル(約60億円)の契約を引き取ってくれるなら、ハニガーをパッケージにしていい、という報道すらあった。まだ、チームの最終形が見えない中で、ドアを閉じる必要もない。 ただディポトGMは、こんな気になることも言った。 「イチロー次第だ」 耳にした瞬間は、体の状態のことと考えたが、オープン戦の結果次第ということなのか、あるいは、決断するのはイチロー次第ということなのか。 いずれにしても、賽は投げられた。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)