【本城雅人コラム】ドウデュースに重なる99年、外国馬を従え勝利したスペシャルウィークの姿
【中央競馬コラム「ぱかぱか日和」】◇24日 ジャパンC(G1・東京・芝2400メートル) ドウデュースには決して恵まれた展開ではなかった。後方3番手といつものポジションだが、武豊騎手が終始手綱を引っ張っていたように、前の馬が入れ替わるスローペースで、少しでも油断したら馬が行ってしまう難しいレースだった。 それでも武豊騎手はじわじわと外に出し、早め先頭から最後まで息をもたせた。これで5つ目のGⅠ。それも牡馬を持つ馬主なら欲しいタイトルばかりだ。 宝塚記念で6着に敗れた時は、もう厳しいかと思った。こうした窮地から立て直すのが武豊騎手は抜群にうまい。思い返すのは1999年のジャパンカップを勝利したスペシャルウィークである。あの年のスペシャルウィークも秋初戦の京都大賞典は7着に敗れたが、その後、天皇賞・秋、ジャパンカップと連勝した。 スペシャルウィークと重なるのは、99年のジャパンカップも外国馬が2、3、4着に入り、しかも4着は、その年の凱旋門賞馬モンジューだったからだ。 今年は3頭だがディープインパクト産駒で英愛ダービー、BCターフを勝ったオーギュストロダン、そして今年のキングジョージを勝利したゴリアットなど久々に海外の一流馬がそろった。 外国馬が再び日本に目を向けてくれたのはいくつもの理由がある。賞金が上がったこともあるし、東京競馬場に国際厩舎を造ったことも大きい。かつてのジャパンカップといえば枯れた冬芝で行われていたが、今は緑のターフだ。馬場造園課の努力には頭が下がる。 私がかつてサンタアニタ競馬場に行った時、JRAの駐在員が厩舎周りをしていて、有力馬の厩舎に「出走してくれませんか」と日本の施設などを説明しながら説得していた。そうしたたくさんの人の苦労が、世界最高峰のレースと肩を並べるまで、ジャパンカップの価値を押し上げたと思っている。 (作家)
中日スポーツ