パウエルFRB議長、政策は「時間とともに」より中立スタンスに
パウエル議長は30日、労働市場は底堅いとしながらも、状況は「この1年で明らかに冷え込んでいる」と述べた。
さらに「2%というインフレ率を達成するために、労働市場の状況がさらに冷え込む必要はないと考えている」と語った。
続くディスインフレ
27日に発表された8月の米個人消費支出(PCE)統計では、価格指数が前月比0.1%上昇。前年同月比では2.2%上昇した。
米PCEコア価格、前月比の伸びが予想下回る-消費支出も低調 (3)
この統計を受けて、インフレ率が目標に向かって低下しているという確信を強めたため、当局は労働市場の強化に一層注力できるようになった。
パウエル議長は「ディスインフレは広範囲に及んでおり、最近のデータは2%への持続的な回帰に向けたさらなる進展を示唆した」と述べた。
一部の政策当局者はなお、利下げが速過ぎてインフレ圧力が再燃する可能性を警戒している。
パウエル議長は「われわれの目標は最初からずっと、痛みを伴う失業率の上昇なしに物価の安定を回復することだ。そうした痛みは高インフレを抑える取り組みに伴うことが多い」と話した。「この任務は完了したわけではないが、その成果に向けてかなりの前進を遂げた」と続けた。
今後の見通し
議長は住宅関連インフレの低下が緩慢であることを認めつつも、やがてさらに低下していくことに自信を示した。
18日に示した当局者の予測では、中央値で年内に0.5ポイント、2025年にさらに1ポイントの追加緩和を見込んでいる。しかし、幾人かの当局者は年内の緩和幅をより小さく見積もっている。
金利先物市場では、約75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の年内利下げが織り込まれており、これは11月か12月にもう一度大幅な利下げが実施されることを示唆している。
一部の当局者は、労働市場に深刻な軟化の兆候が見られれば、再度大幅な利下げが正当化される可能性があるとして、そのような動きの余地を残している。一方、ボウマンFRB理事は18日に0.5ポイント利下げに反対し、0.25ポイントの利下げを主張した。24日の講演では、インフレリスクが長引くとの見方を強調。FOMCは「慎重な」ペースで金利を引き下げるべきだと述べた。