75歳の祖父が「孫の教育資金」として「100万円」援助してくれるそうです。税制が改正されて厳しくなったと聞いたのですが、何か注意点はありますか? 課税されてしまうのでしょうか…?
教育資金の援助を祖父母から受けられるのは非常にありがたいですね。一方で贈与については税金面で注意すべき点もあります。「毎年110万円までであれば非課税」という点は認識できている人も多いでしょうが、他にはどのような注意点があるのでしょうか。 本記事では、祖父母から孫への教育資金の贈与について解説します。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
暦年贈与の注意点
「毎年110万円までであれば非課税」というフレーズは、暦年贈与の非課税枠のことを指しています。暦年贈与とは、1年間(1月1日~12月31日)の贈与合計額が110万円以下の場合、贈与税が非課税となる制度を活用して行う贈与のことです。 この方法であれば、資金使途の制限がないため、教育以外の生活費や娯楽費などに使っても全く問題がない自由度の高いお金を贈与することが可能です。 この暦年贈与の注意点は、贈与をした側の人が亡くなり相続を開始する際、一定期間分の贈与について「持ち戻し」が発生する点です。 「持ち戻し」とは、生前に被相続人から特別受益を受けたものがいる場合に、その特別受益を相続財産に加えて相続分の算定を行い、相続人間の公平を図る制度です。「持ち戻し」が発生すると、亡くなる前の持ち戻し期間中の贈与額が相続財産に加算されるため、相続税の課税対象になってしまいます。 2023年まではこの「持ち戻し」の期間は3年間でしたが、2024年1月1日以降は段階的に7年間に引き延ばされることが決定しました。例えば2031年1月1日に亡くなった場合には、2024年1月1日以降に行った暦年贈与の金額が全て「持ち戻し」となり、相続税の課税対象となってしまいます。 しかし、「持ち戻し」が適用されないように贈与を行うことは可能です。次項にて確認しましょう。
孫への贈与の場合には「持ち戻し」が適用されない
持ち戻しの対象となるのは、子や配偶者をはじめとする法定相続人に贈与する場合です。そのため、孫への贈与の場合には原則「持ち戻し」は適用されません。 しかし、「孫の教育資金」として子(孫の親)に贈与を行う場合には、「持ち戻し」の対象になってしまいます。その場合は、暦年贈与ではなく、次に解説を行う「都度贈与」や「教育資金の一括贈与」を利用した方がよいでしょう。