那須川天心の妹・16歳の梨々がRISE女王ベルト奪取失敗に号泣、そして兄は叱った!
「紅絹さんは、うまいですよね。もっと明確な差をつけたかったけど、取らせてくれなかった」 天心は、勝者をリスペクトし、勝敗を分けた1ポイント差の裏側にある格闘家にとって大切な話をした。 「ちゃんとやれ。格闘技を舐めんなってことです」 説教した妹への怒りは収まっていない。 「最近格闘技界も盛り上がっていますが、強い奴はちゃんと練習しているんです。勝つ奴は一生懸命やっている。ただセンスで勝っていても最終的にこういうところで勝てない。ボロが出ちゃうんです。僕の練習時間は、高校生(の梨々)と違うので、あまり見れてはいないのですが、普段の行い、態度が全部出ますよ」 これが妹への「負けて当たり前」「格闘技を舐めるな」発言の理由だった。王者になるべき人間の資格の話である。 「これは梨々だけじゃなく、うちのジムの人、格闘家にも言えること。本当に結果を残している人は人生をかけている。その差じゃないですか。高校生だから、遊びたいところがあるのかもしれないけど、自分はずっと我慢してやってきた。だから今、結果が出ていると思う。梨々は、女の子なんで、無理やり“やれ”とは言わないですし、“やりたきゃやれよ”なんですが、やるなら本気で教えます。その気持ちがあるなら教えます」 自らの16歳時と比較。そして、こう続けた。 「TEPPENジムに来れば強くなれる、と考えるのは大間違い。TEPPENジムに来ると強くなるチャンスを与えるというか、そういうエキスを教える。でも、それで終わる人が多い。色んな引き出しを見せているのに自分でやらない、やった気だけになる。意識できない人は弱い。一流になれないんです」 まだ16歳。プロのリングも4戦目。“神童の妹”のプレッシャーを背負い、まだ肉体も未熟な段階でRISEのメインを張って会場を盛り上げたのだから大善戦と言える。パンチの当て勘、パンチ、キックのコンビネーションにスピードとキレもあったし、右のハイキックで35歳のベテランの度肝も抜いた。復活したタイトルを手にした紅絹も「プロ4戦目のレベルじゃない。ビックリした。技がいっぱいあって翻弄された」と梨々を称えた。だが、可愛い妹だからこそ天心は突き放す。 「厳しい? 当たり前です。たくさんの人に応援してもらっている。一人の責任じゃない。フリーで自己満でやっているならいいが、応援ももらって看板も背負っている。(負けたのは)そういうところの差なんです」 日本ボクシング界の“至宝”WBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(大橋)も、弟のWBC世界バンタム級暫定王者の拓真が世界のベルトを巻くまでずっと辛口だった。これが“最強遺伝子”を継承するファミリーの宿命という名の“絆と掟”なのだろうか。 涙はファイターを強くする。梨々が金曜の夜の後楽園で見せた才能に疑いはないのだ。いずれリベンジの時はやってくる。 そんな妹へ天心は、入場テーマ曲に使うほど尊敬しているシンガー、矢沢永吉の言葉を贈った。 「いつの時代もやる奴はやる。やらない奴はやらない」