「綾ちゃんのおみそ汁が飲みたい」 がんと闘い抜いた義妹の死を乗り越えて 加藤綾菜さんが見つけた新たな目標
「彼女が最後に勝ったんだ」
よく、いまわの際に「ありがとう」と言ったという話を耳にしますが、それは本当にまれなことで、現実はそんなに理想通りにいくものではないと思いました。 義妹が亡くなった日、福島県で講演のお仕事をしていたところ、いよいよ危ないと連絡が。マネージャーと一緒に無我夢中で東京へ戻り、病院へ急いだのですが、残念ながら間に合わなかったんです。 でも、ようやくつらい病から解放された彼女の最後の表情は、本当に本当にきれいな“笑顔”でした。義妹の最後の笑顔を見て「がむしゃらに闘ってきた彼女が最後に勝ったんだ」って、そう思いました。 彼女は本当に、素敵な女性だったんです。私が世間に認められたいと、そればかり考えていたときに寄り添ってくれて、叱ってくれて。自分のためだけじゃなく、誰かのために生きるようになろう。そう思わせてくれたのも彼女でした。 義妹とは、来世生まれ変わってもまた家族になろうねと約束しました。闘病は想像以上に壮絶で、義妹は最後の最後まで、私にいろいろなことを遺してくれました。
姪のサポートをするためにも勉強を続けていきたい
義妹には9歳の娘がいて、とてもお母さんっ子なのですが、亡くなったときもお葬式をしたときも、涙ひとつ見せないんです。泣いてもいいよと言っても、「綾ちゃんがそばにいてくれるから泣かない」って言って。 母から、子どもに対するカウンセラーの勉強をしてみたら? と言われて、姪の心により寄り添うためにも新たな目標ができました。私たち夫婦には子どもがいないので、確かに子どもの考えることやケア方法には疎いように思って。 義妹がしたくてもできなかったことを姪にしてあげられるように、そして、ひとりでも多くの悩みを抱えている方の力になれるように、勉強を続けていこうと思っています。 人間、いつ、何があるかわかりません。そうしたまさかの際に後悔しないためにも、自分ができることからコツコツと。2025年も私らしく頑張りたいです。
和栗 恵