イスラエル軍戦車、ラファ中心部に初めて到達 世界的非難のなか攻勢強める
イスラエル軍の戦車数台が28日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファの中心部に初めて到達した。イスラエル軍の空爆により発生した避難民密集地区の火災で少なくとも45人が死亡したことに対し、世界的な非難の声が上がっているにもかかわらず、イスラエルはラファでの攻勢を強めている。 ラファで28日、破壊されたテントと物が散乱する中を歩くパレスチナの避難民。ガザの保健当局によると、イスラエルの空爆でここに避難していたパレスチナ人が死亡した。「避難したいけれど、どこへ行けばいいのか分からない」と避難民のマナル・タンボウラさん。「ここは安全な場所だと言われたのに」 ガザの保健当局がイスラエルの戦車砲撃で20人超が死亡したと発表した後、イスラエル軍はラファ西方にあるテントのキャンプへの砲撃を否定した。 現地からの情報によると、約3週間に及ぶラファへの作戦で初めて、イスラエル軍の戦車数台がラファ中心部に到達した。 数日前には、イスラエルのラファ空爆により避難民が密集するテントが張られた地区で火災が起き、少なくとも45人が死亡した。世界から非難を呼び起こし、イスラエルにラファ攻撃停止を命じた国際司法裁判所(ICJ)の判決の実施を求める声が上がっている。イスラエルは、ハマスの司令官を標的にしたのであって、民間人の犠牲者を出す意図はなかったと主張した。 イスラエル軍のハガリ報道官は26日の攻撃について、標的となった施設の近くに保管されていた弾薬が引火した可能性があると述べた。「われわれの弾薬だけでは、これほどの規模の火災を引き起こすことはできなかっただろう」 一方、戦闘休止に向けた取り組みの加速を目的とした外交的な動きが見られ、スペイン、アイルランド、ノルウェーは、パレスチナを国家として正式に承認した。 スペインのサンチェス首相は、東エルサレムを首都とし、パレスチナ自治政府の下に統一されたガザ地区とヨルダン川西岸地区を含むパレスチナ国家を承認すると表明した。「パレスチナ国家の承認は、誰に対しても、とりわけイスラエルに対して、反対するものではない」「私たちの決定は、ハマスに対する絶対的な拒絶を反映している」 イスラエルは、ラファに潜伏しているハマス戦闘員を一掃し、拘束されているとされる人質を救出したいとしている。 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、5月初旬以来、ラファでのイスラエル軍の攻撃から避難した人は約100万人に上る。その多くは戦争の動向の移り変わりによって繰り返し避難を強いられている。