使わなくなったドメイン名は廃止?継続?廃止する際の手順とリスクについて、JPRSの渡邊千裕氏に聞いた
企業や個人がドメイン名を登録したい場合は、ドメイン名の管理をしているJPRSに直接申し込むのではなく、まず指定事業者に申し込む。さまざまな変更届けや申請も、ドメイン名の管理を任せている指定事業者に行う。指定事業者には、ISPやレンタルサーバ事業者などさまざまな企業がある。
ドメイン名廃止におけるリスクとは
――まずJPRSについて簡単に教えてください。 渡邊: JPRSは、ドメイン名の登録管理・取り次ぎとドメインネームシステム(DNS)の運用を中心とするドメイン名サービスを行っております。さらに、インターネットを支える各種技術の研究・開発にも取り組んでいます。 ドメイン名の登録は、まず登録希望者が指定事業者へ申し込みを行い、指定事業者からJPRSに手続きが行われます。このような構造をとることにより、登録者へ提供するサービスの多様化、競争による品質の向上、サービス規模の拡大が可能になります。 ――ドメイン名を廃止する際に、どのような点に注意すべきか教えてください。
渡邊: ドメイン名のライフサイクルを簡単に説明したのが以下の図です。
組織の設立やプロモーションの開始、サービス開始、イベント開催などのタイミングでドメイン名を登録し、組織の統廃合や社名変更、プロモーションやサービスの終了などのタイミングでドメイン名を廃止することがあると思います。 廃止というのは、意図的に廃止する場合と、更新料が支払われていないので登録事業者側が廃止申請をする場合があります。どちらも、廃止後一定期間、誰も登録できなくなります。JPドメイン名の場合は、登録できない凍結期間は、以下のとおりです。 ・汎用・都道府県型JPドメイン名(「○○○.jp」「○○○.tokyo.jp」など)=1ヵ月 ・属性型JPドメイン名(「○○○.co.jp」「○○○.ac.jp」など)=6ヵ月 凍結期間が終わると、登録要件を満たしていれば一斉に誰でも登録可能になります。このとき、元の登録者が改めて登録したいと思っても、以前使っていたドメイン名だからという理由で優先的に登録できるわけではありませんので、ドメイン名の廃止後にトラブルが起きないか、廃止前によく考え、廃止までに十分期間をとることをお勧めします。 ――ドメイン名を廃止した場合に、どのようなトラブルが考えられますか? 渡邊: 再登録されたドメイン名をWebサイトのURLや、メールアドレスとして悪用される可能性があります。弊社サイトでも注意喚起しています。 ・ドメイン名の廃止に関する注意(JPRS) 使われていたドメイン名に関する情報は蓄積されています。たとえば、他のWebサイトからのリンク、検索エンジンの評価、ブックマーク、DNS設定、メールアドレスなどのアカウント情報などです。 まずWebサイトのURLについてですが、取引先のWebサイトからリンクされていたとしましょう。ドメイン名を廃止して、凍結期間後に第三者が同じドメイン名を登録してWebサイトを作った場合、取引先のWebサイトにまったく関係ない組織のWebサイトへのリンクが掲載され続けてしまうことになります。それがアダルトサイトや詐欺サイトなどだった場合、大問題になるかもしれません。公共機関のサイトに無関係のサイトへのリンクが掲載されているといったトラブルは、たまにニュースになります。