中学で出会った恩師、木村敬一が世界を知った日…「全てが水泳優先に」
「中学には全国から生徒が集まっていて、1年のクラスメート12人のうち、男子は僕を含めて4人だけでした。4人とも寮(りょう)で生活をしていたので、学校でも一緒、帰ってからも一緒です。朝から晩まで、ほとんど全ての行動を共にしてました。仲間と過ごす寮生活は、とにかく楽しかったです。翌日が休みの金曜の夜になると、誰かの部屋に集まって、就寝(しゅうしん)時間を過ぎてからも、いつまででも語り合ってました。自分たちだけの世界や時間に浸(ひた)っている感覚が、面白くて仕方なかったですね。
ある時、夜中に4人でこっそり寮を抜け出したこともありました。夜通し起きていると、どうしてもおなかはすくし、喉(のど)も渇(かわ)きます。当時、寮の門限は夜7時で、それ以降は買い物にも行けなかったので、寮と同じ敷地内にある食堂へ行こうという話になったんです。食堂にある自動販売機で飲み物を買うことが目的です。コーラを1本買って、4人で分け合いました。たわいもないことですが、こんなふうに仲間と過ごす時間が永久に続いてほしいと思ってました。今、振り返っても、当時はそれぐらい本当に楽しい毎日でした」